夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
15ページ/28ページ

最近毎日崇に会いたくて、時間を見つけては異世界に戻るようになっていた。
しかし今日はうちにはいなくて少し不安になり、コロと二人でまずは崇の家に行くことにした。
家にいなかったら崇のお気に入りと行っていた塔。
塔にいなかったら図書館だろうか?



「あれ、マリアちゃん?いらっしゃい」

そんな意気込まなくても崇は自分ちの庭にいてブランコを修理していたようで、私に気づくと手を止め立ち上がり笑顔で迎え入れてくれる。

その笑顔を見た瞬間、鼓動が高鳴りして音も大きくなる。
これが好きと言うこと。

「お邪魔します。ブランコ直りそう?」
「うん。もうすぐ直るから約束通り一緒に乗ろうね?」
「約束覚えてくれてたんだ。ありがとう」
「やっぱり僕の未来のお嫁さんは、世界で一番か可愛いや」

まだ直ってないけれど約束を守ってくれたことが嬉しくてそれに対してお礼を言うと、崇は頬を赤くそめ照れながらも私をなぜか誉めてくれた。
嬉しい気持ちになる。
ますます目が離せなくなり、私もなにか崇に言いたくなった。

「崇だって世界で一番かっこいい。ねぇコロ?」
「ワンワン」
「・・・恥ずかしいよ。でもすごく嬉しいな」

素直な気持ちを伝えると崇も私と同じ気持ちで、更に嬉しいと言ってくれる。
私も嬉しい。

だったら毎日会いたいのは、崇も同じなんだろうか?

「ねぇ崇は私と毎日会いたい?私は毎日一緒に遊びたい」
「もちろんだよ。でも僕達はもう前のように遊んでいられないよ」
「え、遊んでいられない?」

私には良くわからない答えに首をかしげ復唱する。

毎日会いたいんだから嫌われていないことは分かるけれど、そしたらなんで遊んでいられないって言うんだろう?
会うだけなら良い?

「だってそうだろう?熊野に行ったら僕は一人前の熊野の男になるためがんばらないといけないんだから」
「それなら私も早く熊野の一人前の女になるね?でもどうすれば良いの?」

理由はすごく簡単でちゃんと考えている崇はすごいと思う。
私も今までのようにお兄ちゃんを頼ってばかりいたらいけないから、これからは一人で考え行動しないといけない。
だけど彼氏や夫には頼って良いらしい。
と凪と帯刀は言っていた。
だから崇には適度に頼ろうと思う。

「女性は歌を詠んだり百人一首したり舞を踊るんじゃないの?」
「それってみんな遊びだよ。遊んでて良いの?」
「マリアちゃん、それは違うよ。ダンサーとか詩人とかは職業だろう?」
「そうなんだ。なら私頑張る」

てっきり崇と一緒に頑張ると思ってたのに遊びばかりでびっくりしたけれど、例えを言われて納得し考えを改める。

ダンサーも詩人も立派な仕事。

だったらお兄ちゃんに教えてもらっている舞を舞うのは大好きだから、もっともっと頑張って上手に舞えるようにしよう。
舞はお母さんが上手らしく、何かあるたび舞っていたと言う。

「だったらどっちが早く一人前になれるか競争だね?」
「うん。なら私舞の練習する」
「僕の今やるべきことは、ブランコを直すことだね」

そう言い合い私達はそれぞれやるべきことを始める。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ