夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「凪、帯刀、お帰りなさい」
「ただいま。はい、お土産」
「ありがとう」

家に帰りリビングに行くと凪と帯刀がいて、お帰りと言うと凪はそう言って包みをくれる。
すぐに開けると、雪だるまのピアスと雪の首輪が入っていた。
どちらも可愛い。

「マリアちゃんのは私と咲ちゃんとお揃いで、コロのは猫ちゃんと平田さんとお揃いなんだ」
「すごく嬉しい。コロ、後で着けよう」
「ワンワン」

お揃いと聞いてますます嬉しくって、コロも同じのようで尻尾をふり凪に寄り添う。
お揃いは仲良しの証だとお兄ちゃんは教えてくれた。
だから私は凪と咲と仲良しだと言うこと。

「ここまで喜んでもらえると、私まで嬉しくなるよ」
「里帰りは楽しかった?」
「まぁそれなりにかな?」

笑顔だった凪なのにその問いを聞いた瞬間、笑顔がひきつり曖昧な答が返ってくる。
それは楽しくなかったってこと。

凪は故郷が嫌い?

「凪さんは故郷に戻る気はないんですか?」
「うん。帯刀さんの世界は私の第二の故郷だからね」
「一応確認はしたけれど、夕凪にも私以外の居場所があるからね」

私が聞きたかったことを崇が聞いてくれて、その答えは迷いもない答えで帯刀が詳しく説明してくれた。
もう戻ってこないって言うのは、余計な心配だったようだ。
そこまで凪は帯刀を愛している。


だとしたら崇は私を愛してくれてる?

「崇、話があるから私の部屋に行こう」
「相変わらずマリアちゃんは突然だね。でもいいよ。行こう」

そんな疑問を持ち早速祟に聞こうとしたけれど、なんとなくここで聞いたらいけないと思い場所を移すことにした。
最近そう言うことが、少しずつ分かり初めている。
みんなの前で話したら、その人は恥ずかしい。
だから誰もいない場所で、話をするのが正解。





「どうしたの?みんなの前じゃ言えない話?」
「多分そう言う話だと思う」
「多分?」
「うん。崇は私の故郷に行ってくれるから、私を愛してくれてる」

不思議そうに私を見つめる崇にまず改めてそう訪ねると、崇の頬は赤く染まり恥ずかしそうに笑う。

「そうだね。ボクはマリアちゃんを愛してるから、迷いなく熊野に行けるんだね?ボクすごいんだ」
「なのに、私はここに・・・」
「マリアちゃんは良いの。ここにいられないんだもんね?」
「ありがとう崇。私もいつか崇を愛してるって言えるようになる」

祟はやっぱり私のことをなんでも分かってくれて、遅い私を怒らずいつも待っててくれる。

愛と言うのは一番好きのことだって、凪と梅さんが教えてくれた。
今はまだ崇のことはお兄ちゃんと同じぐらい好きで、どちらかを選べないからこれは愛しているとは言えない。
だけどいつかきっと私は、お兄ちゃんより崇を選ぶ。
お兄ちゃんもいつか私より都を選ぶ。
それは当たり前なことだと思う。

「うん。それまでずーと待ってるよ」
「ゆびきりの約束」
「そうだね。ゆびきりげんまん」

最後はそう決まったから私達は小指を絡め、仲良くゆびきりげんまんする。

祟が私を愛してくれているって言うから、本当は聞きたかった神子のことは黙っていることにした。
聞かなくても、もう心配も不安もないから。



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