夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「なぁマリア。都がお義姉さんになったら嬉しいか?」
「都が私のお義姉さん?」

都を背負ったお兄ちゃんを先頭にして私とお父さんは肩を並べて歩いていると、さっきから笑顔の父さんがいきなりそんな問を投げ掛ける。
質問の意味が分からず首をかしげ、自分なりに理解をしようと考えた。

都と私は血が繋がってない。
赤の他人をお姉さんと呼ぶのはありえるけれど、多分お父さんはそう言う意味で言ってるんじゃない。
本当のお姉さん。
お兄ちゃんの妻になった人は、私のお義姉さんになる。
お兄ちゃんと都が結婚する?

「結婚は愛しあった異性とするから、都はお兄ちゃんと結婚しない」
「マリア、上部だけ見ても真相は分からないんだよ。都の本心は堪渓に惚れている。ほら良く言うだろう?嫌い嫌いは好きのうちってな」
「嫌い嫌いは好きのうち・・・」

私なりの解釈をしてそれは結び付かないから否定したら、さらなる難しいことを教えられ頭をなぜられる。
嫌いな人は好きな人になるなら私は崇のお兄ちゃんが好きで、崇は神子が好きになってしまう。
でもそんなのは絶対ない。
私は崇のお兄ちゃんなんか嫌いで、崇が好き。

「父上。すべて聞こえてますよ。マリアが混乱してるじゃないですか?」
「・・・私は嫌いな人は嫌いで、好きな人は好き・・・」
「そうだな。オレも同じだよ。でも世の中には素直になれない奴が沢山いる」
「それが都?お兄ちゃんは都が好き?」

そう言うことはやっばり私には難しいことだけど、ようは都が素直になれない人はなんとなくわかった。
だから後はお兄ちゃん次第。
もう都とは敵対しなくて良いから、お兄ちゃんが良いんならそれで良い。
するとお兄ちゃんの頬がほんのり赤く染まる。

「好きの分類には入るかな?マリアが崇を想う気持ちには、まだまだかなわないけどな。もちろん都には秘密だからな」
「分かった。都には言わない」
「よし良い子だ。ゆびきり」
「うん」

恥ずかしそうにそう教えてくれて、約束のゆびきりをした。

ゆびきりをしたから都には絶対に言わないけれど、隠すなんてお兄ちゃんらしくないとも思う。

好きな人にははっきり好きだと言わないと思いが伝わらない。

そう教えてくれたのはお兄ちゃんなのに、・・・それともそう言う好きじゃないんだろうか?
友達に対する好きって気持ちと似ている?

「マリアちゃん、ヒノエさん。あれ渓兄も一緒だったんだね?・・・渓兄に背負われてるのって都姉だよね?」
「崇、どうした?」

そこへ出掛ける時は遠慮して来なかった崇がなぜかやって来て、都が背負われていることを特に驚いている。
私は何か用があるかと思いまずそれを問う。

「凪さんと小松さんが帰ってきたから、呼びに来たんだよ。ナビゲートは朱雀がしてくれた」
「凪と帯刀が?」

祟が来た理由は私が気になっていたことで、行方不明だった二人が戻ってきてホッとする。
行方不明と行ってもお兄ちゃん曰く、凪が本来いるべき世界に帯刀と帰ったと教えてくれた。
すぐに戻ってくるから心配しなくても良いと言っていたけれど、もし居心地良くって戻って来ないかもと思うと心配になった。
そう言う時は、挨拶をしてから別れたい。
本当はもっともっと一緒にいたいけれど、別れの時はいつかはやってくる。
でも戻ってくれたから、別れはもう少し先。

「そうか。なら予定変更。俺は都を送ってくるな」
とお兄ちゃん言って、私達とは別の神子の家へと行く。



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