夢幻なる絆

□14.選んだ道
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今までマリアを守ってくれてありがとうな。
これからはオレの役目だから、お前はやりたいことをやればいい。
オレはお前の父親でもあるんだから、お前の幸せも願っているんだ。

親切心で父上は俺に言ってくれたんだと思うが、オレのすべてはマリアを守り未来を作ることだった。
そのためなら命を失っても構わないと覚悟していたこの俺が、今さら未来を与えてくれると言われても一体何をすればいいんだ?
もちろんマリアのことは今まで通り兄として守っていく。





「渓さん?」
「都?一人か?」

愛宕神社で一人答えがでない結論を出そうとしていると、馴染みの声に声を掛けられ顔をあげれば都の姿がある。
珍しく単独行動だ。

「まぁな。なんだか元気ないみたいだけど、マリアと喧嘩でもしたか?」
「いいや。ただマリアのナイトをクビなったんだよ」
「は、崇に取られたのか?」
「父上にだよ」
「ああ、渓さんにそっくりな軽そうなおっさんか。お前の軽い性格は、親父譲りなんだな?」

やっぱり都には不思議とばかりに気兼ねなく話すと、都は苦笑してそう言いながら俺の隣に腰かけた。

父上が凪さん達に頼んでリンドウ邸に行ったことは知っている。
なんでも崇を婿養子にすることを瞬に許可をもらいに行き、そこで崇に想いを寄せてる白龍の神子と人騒動あったらしい。
まったく父上らしくて、何も言えなかった。

「白龍の神子は大丈夫なのか?父上のことだからとんでもないことを提案してきたんだろう?」
「ああ、まったくだ。ゆきに白龍の神子が辛いんなら変わりにオレ達がなんとかするから辞めちまえなんて言いやがった。小松達も口を揃えて言うから、ゆきはショックで泣いたんだ」
「それはすまなかったな」

初めて知る本当にどうしようもない真相に感心しつつ都には迷惑でしかないことに、一応変わりに謝罪してつい頭をなぜる。

それにしても白龍の神子を知らない父上はともかく、凪さん達まで言うとは何を考えてるのだろうか?
白龍の神子に同情して、重荷を軽くしようとしてる?

「子供扱いすんな。だけどそれがきっかけでゆきとちゃんと話すことができて、よかった面も多少あった」
「それは良かったな。生きていく上で親友は必要だからな」
「だな。お前にはいるのかそう言う奴?」

どうやら都は白龍の神子とようやく本当の意味での親友になれたのか、そこは嬉しそうで俺も嬉しかったが意外なことを言われ話は止まる。

俺に親友?
生きていく上で親友は必要だと言った癖して、マリアを守るだけが生き甲斐の俺には必要としてなかった。
しかしこれからは俺にも親友が必要なのかも知らない。
でもどうやったら作れるものなんだ?

「どうやら俺の新しい目標は、親友作りだな」
「なんだその小学生並みの発想は?でもまぁ私もこれからはゆきゆきじゃなくて、他に自分のやりたいことを探すつもりだよ」

都も都で親友が出来たことで大きな進展があったらしく、何かが吹っ切れていい顔になっていて女性としてますます魅力的になっている。
そろそろ動き出さなければ、他の野郎に奪われかも知れない。
だけど今はまだ・・・。

「好きな奴とか?」
「ふざけるな。こっちは真面目に相談を乗ってやってんだぞ?」
「すまんすまん。ほらよく言うだろう?好きな奴にはついちょっかい出していじめたくなるって。あれだよあれ」
「ななんだよ?それ・・・」

からかうことを優先してしまい都を怒らせ、そして顔を真っ赤にし視線も泳がせ言葉をなくす。
結局いつものパターンになる。




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