夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「夕凪、ここでそういうこと言う?」
「すみません」
「出ていきなさい。あんたなんてもう私達の娘じゃない。本当のことを話してくれて謝るんなら許そうと思ってたけれど、まだそうやって嘘をつくなんて呆れる」
「お袋、姉貴が言っていることは真実なんだ」
「そうですよ。これが証拠のゲームです」

これが二次元ものだったら大概は信じてくれるとこなのに、現実は勘当を宣告されて俯き涙を流されてしまう。
これは日頃の行いが悪かったのがいけなかったのか、それとも非科学的だから何したって無駄なのかは分からない。
弟夫婦が加勢してくれるけれど、まったく聞く耳持たずでゲームを払いのけられた。

このままでは弟夫婦まで勘当され、お父さんとお母さんは孤独になったしまう。
本当のことなのに・・・。

いずれ帯刀さんの世界に移住するつもりの私とは違い、弟夫婦は一生この世界で生きていく。
二人目が産まれるのだから、家族がバラバラになって欲しくない。
だから勘当されるのは、私だけで十分だ。

「お父さんお母さん、今までありがとうございました。私は帯刀さんとこれから協力しあい、幸せに生きていきます」
「すみません。夕凪を必ず私が幸せにしますので、それだけは安心して下さい」

これ以上弟夫婦に迷惑をかける訳にはいかず別れの言葉を告げると、帯刀さんも最後に両親ににそう堅く誓ってくれる。
勘当されてもう会うことがなくなったとしても、帯刀さんは私を大切にしてくれて幸せなんだと言うことは分かってくれただろう。
それだけ分かってくれれば、もういいや。












「散々な結果でしたね」
「夕凪は相変わらず他人事だね?本当にそれで良かったの?」
「良くはないですがこれ以上両親を説得するのは無理なので、私は今以上に帯刀さんと幸せになると決めました。帯刀さんが両親と約束したんですから、ちゃんと守らないとダメですからね」

実家を飛び出してショッピングセンターにやって来て私は苦笑しながら話を切り出すと、帯刀さんは心配そうに聞いてくるから私なりの考えを答えて腕を組む。
それがきっと親孝行に繋がると・・・思いたい。
すると帯刀も笑顔を浮かばせ、頭をなぜてくれる。

「約束は守るよ。夫として父親として、幸せな家庭を築いて行くことを誓うよ」
「期待してますよ。それじゃぁそんな我が子の買い物です。予算はあるので、安心して下さい」

帯刀さんもようやく納得してくれ話はまとまったので、今度はいよいよベビー用品の買いだしへと向かう。
貯金通帳は肌身離さず持っていたためこれから先どうなるかは分からないけれど、可愛い我が子のためなら少しぐらい贅沢をしても罰は当たらないはずだ。
幕末にはない物を重点的に買うつもりで、すでに必要な物はピックアップ済み。
それでいて帯刀さんはもうイクメンになる気満々で、弟に子育てのコツを聞き育児雑誌を読みまくっている。
今では私より詳しいかも知れない。

「そうだね。私が選ばせてもらうよ」
「お願いします。帯刀さんは目利きですから、安心して任せられます」

そう言い私は帯刀さんにすべてを任した。



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