夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「凪さんは幸せなんですね。小松さんからも四神からも愛されていて」
「神子殿だって八葉達に大切にされてるでしょ?それに都くんとなんでも話せる存在になったんじゃないの?」
「それはそうですけれど・・・」

そんな私を見ていたゆきは羨ましそうにまた本音を漏らすけれど、帯刀さんに優しく言い返され言葉を濁らす。
崇くんに嫌われているから、相思相愛の私達が羨ましい。
でも私だって帯刀さんに出会うまでは失恋しかしていなかった。

「私も失恋の一つや二つあるし、夕凪など私以外では失恋しかしたことないらしいよ」
「帯刀さんの口から暴露しないで下さい。失恋は確かに辛いことだけど、ゆきならきっといい人がすぐに見つかって幸せになれると思う」
「ほら私が言った通りだろう?」

落ち込んでいるゆきを前向きにするため精一杯励ませば、ゲーム中では絶対考えられないことを得意気に言う。

それは渓の存在があるからで、ゆきに彼氏が出来てもいいと思っている?
渓のことはゆきにちゃんと話しているんだろうか?

「・・・マリアはどんな子なんですか?」
「素直で人の痛みが分かる優しい子だよ。なんならこれから会って見る?」
「会ってくれるでしょうか?私マリアに嫌われているみたいなんです」
「だから私も一緒に行くよ。もちろん都も行くよね?」
「もちろんだ」

ゆきの方からマリアちゃんに歩み寄ってくれるらしくでも少し不安があるようだから、私は力強くそう言って都も巻き込む。
私だけでは間違えなくゆきが不利になるだろうし、都だってそうなったら言わなくてもついてくると考えた。
案の定そうなる。

「それじゃぁ、帯刀さん、仁友堂に行ってきますね」
「分かった。シュウ、一緒にいってきなさい」
「ですね。護衛は任せて下さい」

相変わらず過保護過ぎる帯刀さんとシュウちゃんだった。








「咲ちゃん、お邪魔します。マリアちゃんいる?」
「凪ちゃん、いらっしゃい。もう宴会は終わったので・・・あなた達は龍神の神子様方?」
「・・・都とゆき・・・」
「夜分遅くにお邪魔します」

昼間のように玄関先で咲ちゃんとマリアちゃんを呼ぶと二人はすぐに顔を出し、咲ちゃんはゆきと都に驚きマリアちゃんは表情を曇らせる。
やっぱりゆきと顔を鉢合わせるのは、まだレベルが高すぎた?
だけど早いうちにちゃんと話し合って置いた方が良い。
その結果、分かり合えなかったとしても、それはそれで仕方がないと私は思う。

「マリアちゃん、ちゃんと話し合おう。私が傍にいるからね」
「・・・うん。咲もいてくれる?」
「マリアちゃんがいいんなら、私も同席します」
「ありがとう咲」

仕方がないと思いつつこのままでは話をする前に決裂するのは良くないことだから、乗り気じゃないマリアちゃんの背中を押してみる。
咲ちゃんもこの場の空気を読んでくれ、ようやくマリアちゃんの顔が少しだけ明るくなった。
これでまずは大丈夫かな?

「では私は人数分のお茶を用意してきますね。みなさんはこちらの部屋でお待ち下さい」
「分かった。ゆき、都こっちだよ」

人んちにも関わらずそう言い指定された部屋へと二人を通し、私はマリアちゃんの隣に座る。
夕食はさすがに終わっていたらしく、お茶とお茶菓子しかお膳にはなかった。
コロは気持ちよさそうに部屋の片隅で寝ている。

「そう言えばマコトと他の先生達は?」
「歓迎会って言って、呑みに行った」
「あ、そうなんだ」

やたらに静かなのが気になりマリアちゃんに耳打ちで聞いてみると、返ってきたのは最早男のサガと言える物で呆れてしまう。

マコトもお酒は結構いける口なんだろうか?
だとしたら今後の宴は更に大変になる・・・。

・・・ちょっとイヤ結構嫌だな・・・。



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