夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「では頃合いを見てそうすることにしましょう」
「分かりました」

それ以降の話し合いもスムーズに終わった。

まとまったと言っても私達が最初にやろうとしていたこととそんなに変わらず、頃合いを見てから黒麒麟を倒し最後に燭龍を倒すことになった。
そうすればゲーム通りのラストになりめでたしめでたしになるはず。

「それと黒麒麟と燭龍の闘いの時は、夕凪は参加したら絶対に駄目だよ」
「なっ?・・・分かりました。私に何かあったら大変ですからね」

最後の最後でなんでそんな意地悪を言うのかと思えば、それは辺り前過ぎることに気づきお腹をさすり頷く。
怨霊退治以上無茶をしたら私は平気でも、お腹の子が悲鳴を上げて最悪流産してしまう。
帯刀さんの幸せな未来を勝ち取る以上に、私は母親としてこの子を護らないといけない。

「分かっていればいいよ」
「おい帯刀。そろそろ宴しようぜ?話は終わったんだろう?」
「龍馬は相変わらずだね。夕凪、梅に準備は終わっているか確認してきなさい」
「了解です」

龍馬のおかげでようやく夕食にありつけそうで、帯刀さんにも言われたからルンルン気分で立ち上がり部屋を飛び出す。
いくらスムーズに話がまとまったと言っても二時間ぐらいは続いていたから、お腹が空き過ぎて限界寸前だった。






「梅さん、宴の準備は出来まし・・・。うわぁ美味しそう」
「奥様、終わられたのですね。ではお鍋の支度もしてまいります」
「は〜い。じゃぁ帯刀さん、宴の準備出来てますよ」

梅さんの所に行くとすでに豪勢な料理達が並んでいてそこに更にお鍋が加わるらしく、私は嬉しくて戻るよりも手っ取り早く大声で帯刀さんを呼ぶ。





「夕凪、相変わらず期待を裏切らない行動をするね?夕凪らしくて良いけれども、今日は神子殿達も来ているのでからね」
「凪さんって、結構可愛らしい方ですね」
「そうか?私にはこないだの件も含め、威勢が良くおおざっぱな奴だと思うが?」
「アハハ・・・すみません」

帯刀さん達が来るなりまず最初に怒られ、ゆきはともかく都に本性を見抜かされ撃沈。
こんなこと間違えなく前にもあって、つまり私はあれから全然成長していない。

「でもまぁ走って呼びにこられて、転ぶよりもよっぽどましだからね」
「うっ・・・・」

更に馬鹿にされていても本当の事なので何も言えず、自分の阿呆さにいい加減泣きそうになる。
自業自得で転けたもんなら、それこそ大目玉を喰らう。
部屋から出るなと言われるかも知れない。

「だったら帯刀、凪に用意が出来てるか確認させなきゃ良かっただろう?」
「それを言ったら、みも蓋もないよ。夕凪にだって私の奥方としてそれなりに振る舞わせてあげないとね」
「まぁ確かにそれもそうだな。凪、頑張れよ」
「・・・はい」

本当に帯刀さんは私を未だにどんな風に考えているんだろう?
愛しい妻と言うことは分かるんだけれど、それ以外は良く分からない。
そして龍馬は龍馬でいつも面倒になって最後は帯刀さん側に回ってしまう。

「それでは皆さん適当な席について、宴を始めましょう」
「待ってました。ゆき、隣でいいか?」
「うん」
「梅、酒をじゃんじゃん持ってこい」
「龍馬さん、お酒はいいですが、あまり旦那様に勧めないで下さいよ。奥様が気の毒です」
「分かってるって。今日は晋作とヒノエさんがいる。しかも今日はマリアがいないから、問題じゃない」
「・・・・・」

帯刀さんの鶴の一声でたちまち宴ムードに変わり、料理を楽しみにしている以上に龍馬はお酒を楽しみにしている。
豪州のヒノエさんはともかく巻き込まれる高杉が気の毒に思えた。




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