夢幻なる絆

□14.選んだ道
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帯刀さんが選んでくれたのは寒椿柄の黒色の着物だった。
いかにも冬らしい物。
そしてゆき達が来る前に四神達と渓にヒノエさんとで打ち合わせをすることになった。

「ついに神子殿達にも事情を話す時が来たようだね?」
「そうですね。分かってくれるでしょうか?」
「目的は同じだから協力はしてくれると思うけど、問題はゆきなんだよね?ゆきの気持ちは分かるけれど、マリアちゃんと崇くんはお似合いのカップルだからね」
「確かにそれが一番の問題か。オレは別に崇が」
「父上。マリアと崇を引き離したら嫌われますよと言いましたよね?いらないとまた言われたいのですか?」
「嫌です」

やっぱり一番の障害は恋愛事情ででもそれは本人同士の気持ちなので、マリアちゃん派の私達にはどうすることもできない。
父親ならではの複雑なヒノエさんだったけれど、渓の厳しい現実に顔を青ざめ首を横にふった。
そう言えば、マリアちゃん。
崇くんがヒノエさんにいじめると思って、いらないと言ったらしい。
記憶のない父よりも、大好きな彼氏。
そうじゃなくても普通は、彼氏を優先するかな?
少なくてもいくらお父さんが大好きの私でも、迷わず帯刀さんを優先する。

「いざとなったら龍馬に頑張ってもらえば良いよ」
「ですね」
「俺は可哀想なんで、瞬を応援しようかと思います」

そうなると流れは必然的にまたゆきの相手のことになり、前と同じようなことになってしまった。
馬鹿らしいことでも、これが一番の肝だと思う。

「なら今度は四神達なんだけど、今のままだとファンシー過ぎるから人の姿に化けられる?」
「そんなの容易いことだが、なぜそのようなことをしなくては」
「アオ今の私達では威厳がないのですよ」
「私は凪の頼みなら、なんでもするぞ」
「それは私も同じ。アオだけその姿でいればいい」
「イヤとは言っておらぬ」

私なりに良いと思って考えたことをアオちゃんは反発するけど、残りの三人は賛成で言い負かされるのが考えを改めた。
それはツンデレなのかぼっちは、嫌なのかは分からない。
でもそんなアオちゃんに申し訳ないことをしたのは確か。
そしてあっと言う間にゲーム通りの人の姿に変わる。
四人ともリアルではよりイケメンなんだけど、その中でもショタ好きの私には玄武がたまらない。

「玄武、私の弟になって」
「わかった。姉上」
「かわいい」
「・・・・・」

我慢できずいつもの茶番が始まってしまり、玄武ものってくれるからいつも通り抱きつく。
欲を言うなら身長が私より小さかったらもっと良かった。

「あの〜帯刀さん、いいのですか?」
「ああ、夕凪にはまったく恋愛感情がないからね。それでも面白くないけれど、私が大人になればいいだけのこと」
「・・・すみませんでした」

いつもならここでげんこつで喰らうのだけれど今日はお咎めがなく、気まずそうな渓の問いにきくい返答をされ我に戻りおとなしくする。
殴られるよりよっぽど恐ろしい。

「帯刀、性格悪いぞ」
「そんなの元からだと思うがね」
「それはそうだが、せっかく凪から好かれたのに邪魔してくるなど酷すぎる」
「私は邪魔などしてないよ。夕凪が勝手に辞めただけでしょ?」
「私のことですぐ喧嘩するのは辞めて下さい」

そして始まる言い争いで、打ち合わせどころではなくなってしまうのだった。


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