夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「三人揃って、どうかされましたか?」
「龍馬がマコトと会ってみたいから連れてきた。私はそれとは別で咲ちゃんに話があってね」
「私は咲にお願いしに来た」
「ワンワン」
「すまんな咲。と言うことだから邪魔するぜ」

さすがに三人揃っての訪問はまずかったのか、ちょっと驚く咲ちゃんに私達は理由を伝える。
龍馬なんて言うだけ言って、勝手に上がり中に入っていく。
私んちと違ってラフ過ぎるのは、ここは出入り自由の病院だから?

「ひょっとして忙しかった?」
「いいえ。今は大丈夫です。昨夜のこともあって、午前中は忙しかったです。あ、お二人も中へどうぞ」
「そうか。それならよかった」
「うん。咲、ありがとう」

今まで特に触れなかったけれど病院だから忙しいとに気づき、ちょうど良い時に来たと思いホッとし私達も中に入る。
だけど早いとこ用件を済ませて、私だけさっさとおいとました方が良い見たい。






「それで私に話とはなんでしょうか?」
「うん。昨日マリアちゃんに言われちゃったんだよね。なんで咲は凪を様付けするのって?」
「えそれは凪様は薩摩家老の奥方で身分が高いからですけれど」
「だけど私達は親友なんだから、そんなの関係ないよ。私だって将軍様の奥方を宮ちゃんって呼んでるんだからね」
「私も凪って呼んでるよ」
「はぁ・・・」

この時代に生きる咲ちゃんにして見れば身分制度はごく当たり前のことだから、私がそう言ってもイマイチ分かってない様子で首をかしげ不思議そうな顔をするだけ。
そんな反応されると様付けされても別にいいのかなと思ってしまうけれど、ここまで言ったからには改善したい。

「つまりこれからは様付け禁止だからね」
「え、よろしいのでしょうか?」
「もちろんだよ」

強気になって禁止令を出してようやく意味が分かったらしく、ビックリされ確認するので力強く頷く。

「それなら・・・凪ちゃんで呼ばせてもらいますね」
「うん、ありがとう。咲ちゃん」
「だったら私もマリアちゃんが良い」
「はい、分かりました」

ようやく様以外に呼んでもらってすぐこれでよかったと思っていたら、マリアちゃんも一緒になってそう言うことになる。
それにしてもちゃん付けされるのは久しぶりだからなのか、なんだか妙に照れ臭い。
前はごく自然に呼ばれていたのにおかしい。
だけどやっぱり様付けよりこっちの方が、もっと仲良しになった感じがしていいな。

宮ちゃんにも凪ちゃんって呼んでもらおうかな?
呼んでくれるかな?

「本当なのですね。呼び名を変えただけで、一層仲よくなれた気がします」
「だよね?」

ようやく咲ちゃんにもその良さがちゃんと伝わったようで、一方通行じゃなかったことが分かりホッとし嬉しくなる。
マリアちゃんも嬉しそうだった。

「ありがとう咲。それじゃぁ今度は私の頼みも聞いてくれる?」
「そうでしたね。なんでしょう?」
「良い子にしているから、凪達と神子達が話し合っている時私はここにいても良い?」
「良いですよ。マリアちゃんはいつでも良い子なので、大歓迎です」

今度はマリアちゃんの話になり可愛らしくちゃんとお願いをすれば、咲ちゃんは快くそう答えマリアちゃんの頭をなぜる。
咲ちゃんの言う通りマリアちゃんは良い子で、なんでも嫌がらず進んで手伝ってくれるから大助かりだ。



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