夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「そう言えば龍馬ってマコトに会ったことないんだよね?」
「言われて見ればそうだな?」

今さらその事に気づく私と龍馬。
かなり間抜けな会話だった。
まぁでもチナミちゃんのお兄さんだから、知らなくても龍馬なら心配するか。

「だったら龍馬も仁友堂に行こうよ。これから行く所だった」
「そうだな。でもそろそろ用意をしなくてもいいのかよ?」
「夕食のことなら梅さん達に任せてあるから大丈夫なんだけど、実はマリアちゃんが話し合いに出たくないって言うからね」
「それはお嬢と瞬がいるからか?あ、それとも福智が怖いからか?」
「・・・崇のお兄ちゃん意地悪だから嫌い」

あんまり龍馬に言いたくなかったけれど、その場にばれるよりはいいと思い話を切り出す。
やっぱり事情を言ったら、悲しそうな表情に浮かべる。
確かにマリアちゃんはゆきのことも嫌っているみたいだけど、話し合えば崇の敵ではないから和解はできると思う。
ただ恋敵であるから、仲良くは出来ないだろうな?
夢の屋さんはゆきのことになるとおかしいから、私もあんまりか変わりたくない。
ゆきが現れる以前はクールで真面目に見えたのにな。
もしゆきに彼氏が出来たら、あの人どうなるんだろう?
自殺するとか?

「確かにあいつはちっとばかし薄情だよな。本当はそれでも仲良くして欲しいが仕方がないか」
「ごめんなさい」
「謝ることないよ。ただお嬢とは一度ちゃんと話して欲しい」
「・・・うん、分かった」

龍馬にしては珍しく瞬については分かってはくれ、ゆきのことについてもそれだけしか言わなかった。
ただやっぱり龍馬にしてみれば、仲良くして欲しいんだよね?
マリアちゃんもそれには前向きみたいだ。

「今日はなるべく問題起こさずに話し合いはするよ。ヒノエさんにも忠告しておいた」
「そうしてくれると、助かるぜ?昨夜の一件でさらに凹んでいるからさ」
「そうなんだ」

ゆきのことを聞かされ、複雑な気持ちになる。

崇くんに失恋、使命の重圧、役立たず。

ここまで悲惨な出来事が続けば、誰だって死にたいぐらいショックなんだと思う。
私でもそこまでだったら立ち直れない。
なんとか助けたいけれど、私とゆきは正反対の性格だから、イマイチ励まし方が分からない。
下手なことして泥沼化したら最悪。

「龍馬、やっぱり日本語って難しいね。ゆきにはどう言う風に気持ちを伝えればいいのかな?」
「それってこの前の件か?」
「うん。白龍の神子が辛かったら辞めればいいと私は思うのに、それでまたゆきを傷つけたから接し方が難しい」
「お嬢は生真面目だし、言い方もあったんじゃねぇか?」
「それってやっぱり日本語は難しいってことじゃない?」
「そそうだな」

私自身少しでもゆきと分かり合おうと対策の相談をしてみると、最終的には最初の問題が結論となり何も解決されずに終わった。

言葉を慎重に選ぶのは大の苦手だから、帯刀さんに任せて私は笑顔で相づちを打っとく?
それだと険悪にはならないけれど、私とゆきはちっとも歩みも寄れないよね?
ちゃんと話し合わないとなんの意味がない。
言いたいことの半分は我慢して話せば良いんだろうか?
でも私すぐ頭に血が上る・・・どう考えても駄目な大人・・・。

「本音で話すわけにはいけないんだろうか?人の子はそうやって絆を深めると聞いたぞ」
「私の場合言い方がきついからね。別の時空で何度かやりあってるの知ってるでしょ?」『確かに』
「トホホ・・・」

クロちゃんが話に加わるけれど、悲しい反論に四神揃って納得する。
悲しい場面だった。



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