夢幻なる絆

□14.選んだ道
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ゆき達ご一行は夕方に来ることになり、帯刀さんも用事があるため藩邸へ行っている。
昨夜のことがらみだと思う。
そして私は本日の一人外出は禁止にもなっているため、暇をもて余し四神達にブラッシングを掛けることにした。

「私もやりたい」
「だったらマリアは私にして下さい」
「ありがとう」

こちらも暇をもて余した感じのマリアちゃんがやって来て興味を示し、シュウちゃんの許可を得てブラッシングを開始。
私とは違ってずいぶん手慣れていて、シュウちゃんは気持ち良さそう。
そう言えばコロの毛並みがいつも綺麗だから、日頃からやっているのかな?
気まぐれでやっている私とはえらい違いだ。
これからは毎日ブラッシングすることを心がけようと思う。

「夕方からゆきと都達が来るって言ってたけど、私はどうすればいい?」
「マリアちゃんは、どうしたい?」
「・・・出たくない」
「そうか。それって瞬がいるから?」
「うん」

独り言のように元気なく朝食の時の話を問うマリアちゃんに、私はマリアちゃんの意見を尊重するため聞き返せば、首を横に振り小声で答えを返される。
理由も案の定マリアちゃんらしい事だった。

崇くんを粗末に扱う瞬の顔を見るのも嫌って相当なもの。
私も瞬のことは嫌いと言うが苦手だけれど、顔を見るのも嫌ではない。
そこまで嫌う相手は前のゆきはそうだったけれど、今のゆきはそれほどでもない。
可愛そうな子だと思う。

「だったらその間・・・仁友堂にいる?きっと渓とヒノエさんは出席するだろうしね」
「うん、咲の手伝いしてくる」
「あ、それがいいね?だったら私も咲ちゃんに用事があるから、後で一緒に行こう」
「うん!!」

だから私は別の提案してみると、マリアちゃんはさらにいい案を出しそれに決まる。
本当だったら瞬と仲良くできるようにするべきなんだろうけれど、あいにく私はそこまで優等生ではない。
嫌いなら無理して合わせなくても、回避する方法だってあると思う。

でも龍馬ならきっと、それは許さないんだろうな?

「凪、マリア。昨夜はご苦労さん」
「あ、龍馬。どうしたの?」

噂をすればなんとやらなのが、龍馬がやって来た。
てっきりゆき達と一緒に来ると思っていたから、突然の訪問にちょっとびっくりする。

と言うことは予め私に話しておきたい・・・今まで散々ゆきともめ事を起こしているんだから無理もないか。
だけど今回は和解?するつもりだから私は大丈夫なんだけれど、そうなると渓とヒノエさんが心配かも。

「チナミの兄のことが気になってな。どうなった?」
「マコトなら南方先生の弟子入りしたよ。しばらくは我が家で匿う形で住んでもらっているけれど、そのうち長屋を借りてチナミちゃんと住むらしいよ」
「そうか。それならよかった。南方先生の弟子入りか。俺もちょっくらさせてもらおうか?」
「え、龍馬が医師?無理だよ」

しかしまずはマコトのことを聞かれて教えると冗談っぽく興味を示すから、私は笑いながら反射的に否定すると少しだけ元気をなくす。

まさか本気だった?
本気なら応援するべきだけれど、龍馬は医師に向いてない気がする。

「あ、ごめん。でも龍馬は医者って言うより、日本中を飛び回ってた方があってるよ。それで斬新なアイデアで革命を起こすとか」
「確かにそっちの方が俺らしいな」

私なりに言葉を慎重に選び精一杯のフォローをすると、すぐに龍馬は復活してくれて明るい笑顔を浮かべた。。
この分だとやっぱり物の弾みで言っただけで、本気で医師を目指すつもりはないらしい。
龍馬は意外に私と同じで深く考えずに、軽く物事を言う時がある。
でもまぁ何はともあれ話が拗れずにすんで良かった。



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