夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「今日は色々ありましたね?」
「"は"じゃなく"も"でしょ?体調は大丈夫?」
「はい、いつも通り元気いっぱいです」

夕食が終わり自室に戻りこれから寝るまでが楽しい楽しい夫婦の時間で、話を切り出すと訂正するけれど私の体調を気にしてくれる。
確かに私の日常は色んなことがたくさんあるから、帯刀さんの言う通りもが正しい。
そして気にしてくれるのが嬉しくて、そう元気よく答えながら帯刀さんの膝を枕に寝っころがる。

帯刀さんの膝枕。

「そう?夕凪は基本面倒くさがり屋なのに、変なところでがんばり屋だからね」
「それは言わない約束です。だけどマコトも無事でしたし、町の被害が最小限にすんで良かったです」
「そうだね。復興支援は薩摩に任せなさい。夕凪があんなに頑張ったのだから、ちゃんと最後まで面倒は見るよ」
「帯刀さん、大好きです」

帯刀さんだから特に言わなくても、私の本性も心うちもちゃんと分かってくれている。
それでも私のことを愛してくれると言う帯刀さんは何度考えても神様みたいな人なんだな。
だから私はいつも笑顔でいて、こう言うときは盛大に甘える。

「そう。所で夕凪は私に何か報告することはないの?」
「報告ですか?特に・・・あ、あります。とても大切なこと」

心の準備はいつでもオッケーになりそろそろお楽しみの時間突入になると思いきや、まるですべてを知っているような口調で問われ忘れていた大切なことを思い出し起き上がる。
このことは絶対に私の口から言わないと駄目なこと。
一体誰に聞いたんだか知らないけれど、その時帯刀さんはどう思った?

「私、アニーから告白されて、うまく答えが言えず泣いて逃げてしまいました」
「初な夕凪らしい反応だね。そんなに驚かなくても、予想はある程度ついていたでしょ?」
「なんのですか?アニーに好かれているなんて夢にも思いませんでしたよ」

少しだけ不安な気持ちで言わないといけないことを打ち明けると、納得された上に意外なことを言われ私は反論。

私とアニーは悪友だと信じて疑わなかった。
好かれる要素なんて、どう考えてもどこにもない。
だけどそう言えば前に雪ちゃんがアニーの好きな人は私じゃないかと言っていたよね?
ひょっとしたら分かる人には分かるもの?
でもアニーは私のどこを好きになったんだろう?

「ダメだよ。私以外の男性のことを、私より悩んだりしたら。分からなければ分からないで良いでしょ?」
「帯刀さんは嫉妬深いですよね?」
「当たり前でしょ?妻が他の男にタブらかされたのだからね。面白くないよ」

落ち着いて考えていると帯刀さんは機嫌を悪くし考えないように仕向けられ一度は笑いながら言い返したものの、再度言われた事がもっともなので考える事を辞め帯刀さんの機嫌取りに専念することにした。
アニーのことなんてどうでもいい。
私のするべき事は帯刀さんを癒すこと。

「帯刀さん、私は帯刀さんだけを愛してます。こればっかりは紛れもない真実です」
「うん、それは十分すぎるほど分かってる。私だけの可愛い可愛い夕凪。ちゃんと振れたご褒美あげないとね。何がいい?」

誤解を解くつもりが分かりきっていたようで、布団に押し倒され帯刀さんは馬乗りになり着物を脱がされる。

いつもの誘導作戦だったらしいけれど、あれは本当に正しい振り方だった?
違うと思うのは私だけ?

「夕凪。また違うことを考えてる」
「す、すみません・・・。ねぇ帯刀さん」
「ん?」
「これでチャラにして下さいね?」

そう私は言って、帯刀さんの唇を奪う。



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