夢幻なる絆
□14.選んだ道
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「凪に帯刀、チナミのお兄ちゃん見つかったよ」
「え、本当に?それでどこにいるの?」
「案内するから来て」
「分かった」
南方先生達の邪魔しにならように簡単な手伝いをしていると、嬉しそうなマリアちゃんが良い知らせを持ってやって来る。
一瞬どうして一緒に来ないのかと思ったけれど、マコトは追われている身なのだから無理もない。
「南方先生、すみません」
「気にしないで下さい。大分ここも落ち着いたので、後は私達だけでも平気です。それにこの目的はチナミくんのお兄さんを救うことですよね?」
「はい、ありがとうございます」
笑顔で南方先生は私達を見送ってくれるので、お礼を言ってマリアちゃんとマコトの元へ急ぐ。
これでようやくチナミちゃんとの約束を守ることが出来た。
マコトはこれからどうなるか分からないけれど、取り合えず薩摩藩で匿うことになるだろうね。
それとも帯刀さんは嫌がる?
「あ、小松さん達にマリア」
「げっゆき達御一行様?」
出来れば今会いたくないゆき達御一行様に鉢合い、おもむろに嫌な顔をしてしまった。
別に合うことが嫌じゃなくって、タイミングが悪いだけ。
速くマコトを安全な場所にかくまいたい。
しかし向こうは言うまでもなく私達を探しているようで、会釈だけじゃすまされなさそうだった。
「凪さんに聞きたいことがあるので、一緒に来てくれませんか?もちろん帯刀くんも同行しても構いません」
「当たり前です。マリアくん、チナミくんと先に我が家に帰ってくれる?」
「分かった」
ここでは言わずにそう表向きはお願いされ、帯刀さんはマリアちゃんにマコトを託す。
我が家になら四神の結界も張ってあるから怨霊に襲われることはないし、ありとあらゆる意味で安心である。
「それで聞きたいことと言うのは、妻が玄武を操っていることについて?」
「はい、そうです。凪さんは一体何者なんですか?」
「私は四神の神子です」
聞かれる前に帯刀さんは先手をうちそれに対して問われたから、私も隠さずに真剣な表情で正体を明かす。
これでこの先どうなるかは分からない。
でも責められることはないだろう。
「四神の神子。これはまた大きく出たものだね?だったら玄武以外にも君は持ってるんだね?」
「はい、四神の札はすべて揃っています。私が彼らの穢れを浄化しました」
「だったらどうして黙っていたんだ?」
「聞かれなかったから」
『確かに』
瞬の冷たい問を冷静に答えると、誰もが納得してくれたようで声がハモる。
まぁ聞かれても誤魔化していたと思うけれど、実際は聞かれた記憶はないからそう言うことにしとく。
「妻は普段からそそっかしい上妊婦ですから、危険な目には会わせたくなかったんです。しかしだんだんそうも言ってられなくなり、四神には妻の安全が第一と言う約束で許可したのです」
「なるほどそう言うわけか。だから先日あんなことを言ったんだね」
私だけだとこれ以上はボロを出すとでも思ったのか帯刀さんは完全なフォローのおかげで、更なる納得をしてもらいこないだの確信に繋がったらしい。
これでもう四神の神子について、しつこく聞かれることはなさそう。
「はい。もちろん私もゆき達に協力もするけれど、ゆきは辛そうに見えたから私とマリアちゃんに任せてと言ったの」
「白龍の神子と天の朱雀の娘と息子。そして元天の朱雀。君の周囲には様々な人達がいるね?さすが四神の神子殿は面白いね」
「違います。それは妻の人柄です。妻を四神の神子と呼ばないでもらえますか?」
私の思いもちゃんと告げ話は穏便につくはずだったのに、リンドウの私への呼び名が気にいらなく強く否定する。
こう言う時の帯刀さんは大人気ない。
どうせなら面白いを指摘してくれれば良かったのに。
「それじゃぁ私達は急いでいるので、この辺で失礼します」
これ以上くだらないことで話をこじらせたくも私まで墓穴をほりたくないので、話を強引に完結させ私達はゆき達から急いで離脱する。