夢幻なる絆

□14.選んだ道
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梅さんのおかげで少しだけ落ちつき自室に戻ったら猫ちゃんと平田さんしかいなくて、机の上には手紙と四神の札が置かれていた。
手紙はアニーからで、

ごめんなさい。

だけ書かれていた。
それですべてが物語っていて、もうアニーは私の前には現れないんだと思う。

「梅さん、私友達を一人なくしました」
「奥様、こればかりは仕方がありません。下手に優しくしたら、それこそ相手に誤解を招いて失礼ですよ。旦那様を愛しているのなら、無自覚でも裏切る行為はお辞め下さい」
「それは分かっています。帯刀さんの嫌がることは絶対にしません」

分かってたとは言えショックは大きくてまた梅さんに頼れば、厳しくて冷たい答えが返ってきて帯刀さん側に立つ。
でもそれは当たり前なことで私にも良く分かる。
ただでさえ普段から帯刀さんに迷惑をかけているのに、不倫疑惑が持ち上がったらいくら嘘でも今度こそ愛想をつかされてしまう。
そんなことになったら私は生きていけない。

「約束ですよ。では私は勝手場に戻りますので、何かあったらお呼び下さい」
「はい。ありがとう梅さん」

私が暴走しないことを確信した梅さんは微笑み、そう言い勝手場に戻っていく。
一人残された私は四神の札を懐にしまい腰を下ろすと、猫ちゃんと平田さんは膝に乗り丸くなる。
私を心配してくれてるのかな?

−凪、これからは絶対盗み聞きはしないと誓う。
−ですから愚かな私達を許して下さい。
−小松帯刀に逢いたいのなら、私が凪を藩邸にすぐ連れていく。
−だから頼む。捨てないでくれ。

四神達の声が必死にさっきのことを謝罪する。

さっきは気が動転していたからついあんなことを言ってしまったけれど、こんなに反省しているんだから許してあげても良いよね?
それに私を心配してくれたんだし。

「今度したら、絶交だからね」

=約束する。

「なら今回は許してあげる。それと帯刀さんには知らせなくて良いから」

=御意。

あくまで怒っているアピールをしながら、強気に言い聞かせる。
神様相手に恐れ多いのかも知れないけれど、このぐらいしないと同じことの繰り返し。
私だってたまには本気になって怒る。
帯刀さんはきっと忙しいだろうから、仕事の邪魔なんかしたくない。
帰ってきてからちゃんと私の口から話す。
本当は力いっぱい抱き締めて欲しいけど、ここは我慢する場面なんだと思う。

「あ、そうだ。宮ちゃんに返事を書こう」

いつまでもしんみりしているとワガママな私が表に出てきそうだから、気分を切り替え机の引き出しからレターセットを取り出しまずは柄選び。
私の世界で買ってきたレターセット。
季節は冬でもうすぐクリスマスだから、雪とサンタクロースがピッタリだ。
宮ちゃんには私が異世界人だって言ってはいないけれど、これを機会に暴露してしまうかと思っている。
だって私達は友達だから、そう言う大事なことは話した方が良いんだよね。
それに宮ちゃんは四神達のことも疑わずに信じてくれたから、私の素性だってきっと信じてくれる。

そして文には、マリアちゃんと渓はいつでも良いと言っていたので、南方先生と咲ちゃんの都合が良い日とお茶会の前に大切な話があること。と書いてお土産のかんざしと一緒にシュウちゃんに託した。



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