夢幻なる絆
□14.選んだ道
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「それでアニー、大切な話ってなんなの?しかも四神達にも聞かれたくないって、そんなに深刻なことなの?」
約束通りアニーが我が家に来たのは夕暮れ時で客間に通すなり二人だけで話したいと言われたため、四神の札は自室に置いてきて客間に戻りいよいよ不安の本題に入る所である。
あのアニーが私にしか話せない大切な話があるなんて怖いけれど、私を頼ってくれているのだから出来る限りそれに応えたい。
しかし私なんかに何が出来るんだろうか?
「はい。凪さんは馬鹿だから、単刀直入に言います」
「アニー、あんた私に喧嘩売ってるの?」
「いいえ、違います。凪さん、私はあなたを愛してます」
「・・・は?」
やっぱりアニーの性格の悪さは天下一品で結局私はいつも通りにからかわれているのかと思いきや、いきなりの告白に似た言葉に開いた口と目がふさがらず聞き違いじゃないかと耳も疑う。
これは夢?
それとも新手の達の悪いいたずら?
どっちにしたってこんなの現実じゃないよね?
だって私はアニーに好かれる要素なんて一切ないんだよ。
「凪さん、いきなりの告白ですみません。しかし私はこの思いに終止符を付かなければ前に進めそうもないのです」
帯刀さんのプロポーズを承けた時と同様に現実逃避している中、更に追い撃ちを掛けられるように真剣な瞳で私を見つめ本気だと告げられる。
アニー自身もこの恋が報われないことぐらいちゃんと分かっていて、きっと私にバッサリ振られたいから告白してきたんだ。
だから私はこ期待を持たせずに、諦められるようバッサリ振る 。
余計な優しさはいらない。
「ごめんなさい。私は夫である帯刀さんを心から愛しているんです。アニーは今もこれからも私の大切な友人です」
なんて言うのは正解だって頭では分かっているのに、私にはそんな気が利いた返答が出来ない処が何も言葉が出てこなかった。
告白されたことが怖くなって、涙がこぼれ落ちる。
「凪さん、どうして泣くのですか?ここはバッサリ振るところでしょう?」
「アニーのバカ〜!!」
「え、ちょっと凪さん?」
頭の中が大パニックを起こした私はそう言い捨てて、障子を勢いよく開けると何かが崩れ落ちたようで四神達が転がっている。
障子に聞き耳を立てていたんだと思う。
つまり今の事をすべて聞かれていた。
余計どうしたらいいか分からない。
「凪、すみません。私達は凪のことが心配だっただけで、まさかこんな展開になるとは思いませんでした」
「アーネストは凪をいじめるからな」
「四神達もバカ」
「あ・・・」
懸命に弁解するシュウちゃんとクロちゃんの言葉も聞けずに、やっぱりそう言い捨て今なら勝手場だろう梅さんの元に急ぐ。
ここはもう梅さんに相談するしかない。
「梅さ〜ん」
「奥様?どうしたのでしょうか?」
「アニーから告白を承けたんですが、怖くなって逃げてきたんです」
「本当に奥様は、初で可愛い人ですね?」
やっぱり勝手場に梅さんはいてくれて、私は一目散に梅さんの懐に飛び込んでしまった。
びっくりする梅さんだったけれど、訳を話すとニッコリ笑顔で恥ずかしいことを言われる。
こんな時にそういうことを言います?
しかも私が可愛い人ですか?
「梅さん、何言ってるんですか?」
「だって告白されたぐらいでそんな反応見せるんですもの。それとも奥様はサトウさんが好きなのですか?」
「それだけはないです。私は帯刀さんだけを愛しています」
梅さんの意地悪な問いには、動揺しないで全否定する。
出会った時は憧れの王子様ではあったけれど、それでも恋愛感情は一切ないって断言出来る。
「でしたら何も怖がる必要などありませんよ。ハッキリ断れば良いんです」
「ハッキリ断っても、私とアニーは友達でいられる?」
「それは・・・難しいかと思います」
私が恐れている理由を聞けば、あまり良い答えは帰ってこなかった。
やっぱり私はもう、アニーと友達でさえもいられないんだ。