夢幻なる絆

□14.選んだ道
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「それじゃぁ後はマリアちゃんに都合を聞いてから、宮ちゃんに返事をしておきます」
「はい、よろしくお願いします。それにしても和宮様は私達の予定を聞いてくるなんて、優しい方なのですね?」
「そうですよ。宮ちゃんはとっても優しい子です」

これから来客があると言うので最後に確認のためそう言うと、私と同じことを南方先生は思ってくれたみたいで嬉しくなる。
宮ちゃんはきっと私以外にも知人が欲しいんだと思うから、南方先生と咲ちゃんにもできればなって欲しい。

「南方先生、アーネストさんとウィル先生が来ました」
「Dr.南方。こんにちは。凪さん、いたんですね?」
「うん。でももう帰るところなんだ」
「そうですか。大切な話をしたいので、後ほど寄ってよろしいですか?」
「うん、いいよ。じゃぁまたね」

アニーとウィル先生がやってきたから挨拶だけして帰ろうとすると、アニーは深刻そうな表情でそう問われる。
今日は特に用事がないから気軽に承諾しながら、そんな深刻な話とは一体何か気になった。

まさかクロちゃんに頼んで、アニーも天の玄武交代したとか?
だとしたらウィル先生が新たな天の玄武?













「私はそのようなことは認めてない」
「そうなんだ。じゃぁなんなんだろう?」

我が家に帰りクロちゃんに聞いてみると、否定されてしまい別の可能性を考える。

私に話すそれ以外の大切な話ってなんだろう?
まさか通訳はようなしになったから、京に戻ることになったとか?
アニーは元々京で働いてたもんね?
寂しいけれど、こればかりは仕方がないか。
それに京だったら私もそのうち・・・・。

「京に戻ったら、南方先生や咲ちゃんや宮ちゃんにも頻繁に会えなくなっちゃんだ」

当たり前のことを改めて考えたら、ちょっと切なくなって落ち込みそうになる。
少なくても出産まではここにいるとは思うんだけど、その後はきっと京に帰るんだと思う。
京に帰ったら私には同性の友達がいないんだ。

「凪、心配するでない。我なら京と江戸の往復することなど容易いことよ」
「あ、そうだね。ありがとう。シロちゃん」

しんみりするのも束の間で言われてみれば、確かにそう思う解決策があっさり見つかる。
四神には距離と言うものが関係がないんだった。

「凪、ただいま」
「あ、マリアちゃん、おかえりなさい。渓とヒノエさんも一緒?」
「うん」

そこへえらくご機嫌なマリアちゃんがやってくる。
そんな笑顔を向けられるとお姉さん変態さんになります。

「何か良いことあったの?」
「崇が私のことを愛してくれてるんだって」
「そうなんだ。良かったね」

一体全体何がどうなってそうなったのか気になりながらも、とにかく嬉しそうなマリアちゃんを祝福する。

ヒノエさんにせん脳されたのか?
それともまさか私達?

「うん。崇は凪みたく私が暮らしていた熊野に行って婿養子になってくれる」
「あ、だから愛してるのか」

どうやら原因は両方のようで、いかにもマリアちゃんらしい解釈で納得する。
だけどそこまでやるのは私も崇くんがマリアちゃんを愛してるからだと思う。
そしてこんなに喜び幸せそうなマリアちゃんも、崇くんを愛してるんだね。

「私と崇が結婚したら、凪と帯刀のような仲良し夫婦になれる?」
「もちろんだよ。マリアちゃんは崇くんと結婚したいんだね」
「もう少し大人になって私が崇を愛していると言えるようになったら、お兄ちゃんが結婚して良いって」

すっかりマリアちゃんは恋する乙女になっていたけれど、まだ渓の言いつけを当たり前のように守っている辺りまだまだかも知れない。



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