夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「寒ブリは美味しいし、梅酒も最高だね」
「・・・夕凪、そろそろお酒は止めなさい」
「え〜なんでですか?今夜はとことん呑むって決めたんです」

宣言通り私はお気に入りの梅酒を呑みまくり良い感じで酔いが回ってきた頃、あまりお酒を呑んでない帯刀さんからきつい口調でストップが掛かる。
しかし私は聞く耳持たずで、生意気に梅酒を呑み続けた。
私の思惑通り今夜の帯刀さんは酔わないだろう。

「凪さん、お酒はほどほどにしないと胎児に悪影響ですよ」
「え?凪、お酒は駄目。赤ちゃんが可愛そう」
「え、マリアちゃん?」

渓の言葉をまともに受け止めたマリアちゃんは悲しそうに怒り、私から梅酒のコップを奪い取りあろう事か残りを一気に呑んでしまう。
酔いが一瞬で覚め我に返り、その行動に驚く。
マリアちゃんはまだ14歳の子供で、梅酒は半分以上ありそれを一気飲みをすれば・・・。

バタン


考え終わるよりも早く、真っ赤に顔が染まりその場に倒れ込む。

「おいマリア」
「ワンワンワン」
「マリアちゃん、ごめん・・・」

一気に辺りは騒然となり、私達は懸命にマリアちゃんに呼びかける。
原因である私の顔は真っ青になり、パニクってしまう。

私のせいで未成年のマリアちゃんを、酔っぱらわせてしまった。
帯刀さんの言うことを聞いていれば、こんな大惨事は起きなかったんだよね?
思えばどうして今夜はとことん呑むって・・・帯刀さんに酔いつぶれて欲しくなかったから。
なのに結果は惨敗。

「凪さん、そんな顔をしないで下さい。理由がどうあれお酒を呑んだマリアがいけなかったのですから・・・」
「だけど、やっぱり私がすべての原因だから」
「そう言うなら私がいつも酒に溺れるからいけないんでしょ?これから酒はほどほどにする」

渓の優しい言葉を言ってくれるけれど私はそれでも反省していると、帯刀さんも以前からの同じことを言って約束をする。
今日と言う今日はもってないほどに反省しているようだけれど、それでももって一週間が限界だろう。
お酒大好きな帯刀さんには到底無理なこと。
だけど今はそれどころじゃないため、そう言うことはスルーする。

それに別にたまになら私だって・・・。
・・・じゃぁなんでこうなったんだ?

「本当にごめんなさい。とにかくマリアちゃんは部屋まで運んだ方が良いね」
「そうですね。朝までぐっすり・・・二日酔いにならなければいいですか」
「それだったら生卵グイッと」
「龍馬は馬鹿?そう言う問題じゃないの?そもそも生卵の一気飲みなんて罰ゲームじゃない?」

バッシッ


この状況をまったく理解していない酔っぱらいの龍馬は余計なことを言って、私を怒らせ肘鉄を食らわせノックアウト。
酔っぱらいは人格を本当に変えるもので、私ももう少しで龍馬のように人格を変わっていたかも知れない。

私が酔っぱらったらどんな感じになるんだろうか?
記憶がなくなるまで呑んだことがないから、まったく予想が付かない分怖い。
絶対に今以上、他人に迷惑掛けるんだろうな。

「龍馬の言うことは聞かなくて良い。では渓、おやすみ。私達もやすむことにするよ」
「はい。おやすみ渓」
「二人共、おやすみなさい」

そう言って渓はマリアちゃんを連れ広間から出て行き、私も再び帯刀さんにお姫様だっこをしてもらい自分達の部屋に戻ることにした。

もちろん伸びた龍馬は、広間に置き去りにしたまま。



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