夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「アーニー、Mrs.凪に失礼だよ。小松さんにまた仕返しをされても、知らないからね」
「そうでしたね。凪さん、アフタヌーンを用意したのでもうこの話はめましょう」
「・・・そうだね」

ウィリス先生が加勢してもアーネストは明らかに私を見くびる発言を続けられ、ムカッとしても再び押し殺し話にあわせる。

食べ物で釣るなど止めて欲しいです。
それは卑怯と言うものなんだからね。

「Mrs.凪。アーニーのご無礼をお許しください。あれでまだまだ子供っぽい部分があってね」
「あ、それ分かります。ようは素直じゃないんだよね?」
「やっぱりそうですか?まぁそう言うところが可愛かったりするんですが」
「言えてる」
「ウィル、凪さん。何を言ってるんですか?」

アーネストの代わりにウィリス先生が謝ってくれやっぱりと言わんばかりのことを聞いたため、ついつい日頃思っていることを調子にのって言い意気投合。
慌ててアーネストは口を挟むけれど、そんなの聞く耳持たずで笑いあう。
これで少しは仕返しが出来て、ムカムカがようやく治まりすっきりとした。

「それでは、ティータイムにしましょうか?」
「そうですね。アーネスト、紅茶を入れてくれる?」
「・・・分かりました」

調子にのって少々強気に生意気なことを言っても、アーネストは観念したかのように紅茶を入れてくれる。
これもウィリス先生のおかげだろう?
そして紅茶は柑橘系の良い香りで、私が一番好きなアールグレイだ。


「ねぇ、アーネスト?」
「なんでしょうか?」
「私もアーニーって呼んでも良い?」
「いいですよ」
「では私の事はウィルと呼んで下さい」

コンテッドクリームたっぷり乗せたスコンと紅茶に、BGMはジャズミュージック。
そんな最高な気分を味わいながら何気なくアーネストに聞いてみると、あっさり承諾をしてくれてウィリス先生も話に加わる。
外国人は日本人より遙かに通称名が多いと、どこかで聞いたことがあることを今さら思い出した。

だから仲が良いアーネストを通称で呼びたいと思ったんだけど、まさか初対面のウィリス先生が承諾してくれるなんて意外だな。
ウィリス先生は本当に紳士的で、しかも社交的な男性だ。
まるで龍馬の外人版みたい。
だとしたら龍馬とも馬が合う?

「はい。じゃぁアーニーにウィル先生」

バタン


「夕凪、無事?」
「え、帯刀さん?どうしてここに?」

そんな優雅な午後の一時を過ごしているといきなりドアが乱暴に開き、ただごとではない帯刀さんとうんざりの龍馬が乱入。
私達は驚きまくり目と口を大きく開け、二人をマジマジと見つめてしまう。

私を心配してここまでやって来たのは一目瞭然だけれど、なんでこうすぐいつもバレる?
帯刀さんはエスパーか何かか?
それとも四神が勝手に知らせに言っ・・・そんな気配はないか。

「梅から聞いた」
「そうですか。ご心配おかけしました。軽い捻挫だったので、たいしたことないですよ」
「軽い捻挫・・・。まさかだと思うけれど、足を躓き転けただけ?」
「・・・はい」

心配されたのは一瞬だけで感づかれた真相に頷いた瞬間、肩を落とし深いため息を付き頭を押さえる。



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