夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「本当に帯刀は、凪のことを愛してるんだな」
「ええ、愛してますよ。ねぇ、夕凪?」
「はい、・・・え?」

ヒノエさんの問いに帯刀さんは断言して私の名を呼ぶから、反射的に返事をするといきなり唇が重なり合う。
何もかもが突然過ぎて目が開いたままで持っていたスプーンを落としてしまい、体中が燃えるようにカッと熱くなる。
いくら私達がラブラブ馬鹿夫婦でも、注目の的になるのは恥ずかしい。

「凪と帯刀は仲が良い。私も祟とやりたい。祟、やって良い?」
「は、マリアちゃん何言っているの?ボク達にはまだ早いって」
「うん、だから私達はここ」

こんな時マリアちゃんが黙っているはずもなく目をキラキラさせて、恥ずかしがる祟の頬にキスをして抱きつく。
それはすごく可愛らしくて微笑ましく見えるけれど、ヒノエさんはそうではない。
目だけ笑ってない笑顔で、二人を黙って見ている。

これはデジャブか何か?

「父上、マリアにも熊野の血が流れているんですよ。そして一途で素直な母上の血もね」
「分かってる。だから何も言ってないだろう?認めるって決めたんた」

渓のダメ出しにヒノエさんは怪訝しく自分に言い聞かせる。
言葉に二言はないヒノエさんは立派だと思うだけに、とてつもなく可愛そうだっだ。

マリアちゃんも血筋には逆らえないことか。
それとも逆らう気がない?

「マリアくんは毎回予想を上回ることをしてくれて、楽しませてくれるね?」
「その言葉帯刀さんに返します。毎回予想を上回ることをしてくれて、無垢なマリアちゃんを煽らないで下さい。周囲が迷惑ですよ」
「そう?別に夫婦が公でイチャついていても問題はないでしょ?」
「ありますよ」

一番の原因は他人事のようにシラと言い笑って、忠告しても開き直って問題発言を口にする。
そんな考えだから子供の教育に悪影響で、ナンパ野郎が育つのかもしれない。
子供が生まれたらそう言うのにも気を付けよう。

「仕方がないね。続きは寝床でやることにするよ。夕凪はこう言う時だけ恥ずかしがり屋だからね」
「そう言うことも口にしないで下さい」

思ってる側からまたもや言われてしまいもう何を言っても効果はないと思いながらも、そう言いほほを膨らませてそっぽを向く。
これが帯刀さんの狙いだと分かっていても、泥沼に毎回ハマってしまうのは馬鹿としか言いようがない。
いつかギャフンと言わせたいけれど、私には無理な話。
寝床で素っ気なくするだけだとしても、難問であることは確かだ。

・・・甘えたいもん。

「凪は本当に分かりやすい性格だな。喜怒哀楽が激しすぎて面白い」
「ですよね?そこが一番気に入っています」
「・・・・・」

もうなにも言い返せません。
勝手にやってて下さい。

「そうだ。凪さん帯刀さん、今夜は泊まってて下さい。温泉も作ったんです」
「温泉?ならお言葉に甘えさせてもらうよ」

気を聞かしてくれたのか渓が話題を思いっきり変えてくれ、帯刀さんはすぐに興味を示してくれてホッとする。
私も温泉には興味がわく。

「楽しみですね」
「そうだね。後で夫婦水入らずで入らせてもらおう」
「はい」
「水入らず?なら私はお兄ちゃんとお父さんと入りたい」
「そうだな。親子水入らずだ」
「うん!!」

マリアちゃんの願いはあっさり聞き入れられ、マリアちゃんの願いに渓もヒノエさんも嬉しそうだった。

しかし本当にこれでいいんだろうか?
祟くんと一緒に入りたいと言われないだけまだ良かったのかも知れないけれど、マリアちゃんの体は大人の女性で私より胸が大きくウエストもはっきりある。
普通であれば男家族とは死んでも入りたくないはずなのに、マリアちゃんはどうも幼くて感覚は世間とはずれている気がする。




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