夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「だったら、白龍の神子なんて辞めたらどうなんだ?後はオレ達に託して、君達は第三者になればいい」
「ああ、そうだね。後は私達に任せてよ」
「どうして私の妻は余計なことに首を突っ込むんだろうね?私が傍にいなければ、何をしでかすか分からない」

難しいと思っていた解決方法がヒノエさんのお陰で簡単に見つかって、帯刀さんも言葉は否定的でもだから私の傍にいてくれると言うことでもある。
敵対して協力するのは無理なのだから、ゆき達が手を引けばいい。
なんでも一人で背負ってしまうゆきと違って、私とマリアちゃんには支えになってくれる人がいる。

「そう言えば小松達もすべて救う方法を探してるんだよな?そしたらオレも力を貸す」
「ありがとう。チナミちゃん」

協力的なチナミちゃんに感謝する。

「神子殿、ありがたくそうしてもらいなよ。君はもう普通の女性に戻ればいい」
「それってもう私は用済みってことなんですか?」
「そういう意味じゃない。辛いんなら辞めればいいだけのこと」
「・・・少し一人になって考えます」

リンドウの言い方がキツかったらしくすっかりゆきは落ち込んでしまい、一人寂しく部屋を出ていってしまった。
ゆきは明らかに矛盾の思いだけれど、今まで一生懸命役目を果たしていたからそれが普通なのかもしれない。
やっぱりゆきにも、なんでもわかりあえる親友が必要なんだ。

「都、ゆきの本当の親友になってあげて」
「は、本当の親友?」

それは私ではなく都の役割だと思った私は、複雑な表情をした都に頼む。
訳がわからず首を傾げ私を見つめる都。

「そう。ゆきはなんでも一人で抱え込んで解決しようとしている。でもそれを分かち合える人がいれば、どんなことでも乗り越えられる。私には夫も親友もいるから、何があっても平気」

だから私はこないだとは違って、自分の考えを強く都に訴える。
ここまで来たら強制でも押し付けでもなんでもいいから分からせるしかない。
どうせ私の印象なんて最初っから悪いんだから、完全に嫌われても問題はない。

「そうだな。オレにも親友がいたから今までやってこれた。妻もそうだ。たまには喧嘩もしたがそれで終わるような奴など、オレから言わせれば親友はおろか仲間でもないんだ」
「ヒノエさん、いいこと言いますね?」
「・・・そうだよな。私はゆきの親友だ」

ヒノエさんの援護射撃のおかげで、都は何か吹っ切れたらしくゆきを追いかけていく。

後はゆき次第だね?

「それで瞬は祟の結婚と移住についてはどうなんだ?」
「俺は祟がそれでいいと言っているのなら、反対する理由がない。大体今さら兄貴ずらなど出来るはずがない 」

冷たいような罪悪感たっぷりの瞬の台詞に、まだ少しだけ弟に対する感情があることを知る。
もしかしたら瞬は弱いだけで両方守ることができなかったから、仕方がなく祟くんを見放しただけなのかもしれない。
なんでも一人で背負ってしまうから、こんなことになってしまった。

「となると説得するのは神子姫様だけか。神子姫様にも良い相手が見つかればいいんだが、八葉の中にいないのか?」
「いるにはいますが、どうも彼は押しが弱くて躊躇していましてね。他にも神子殿を慕う男性は多いと思いよ」

龍馬押しの帯刀さんだから、龍馬のことを言ってから他にもいることを伝える。
私も同じ意見だけれど、まだ複雑な心境だ。

「さすが神子姫様だね?妻も望美もモテまくってたが、二人ともまったく自覚なし」
「それは私の妻にも言えますよ」
「え、私は・・・・」

帯刀さんの言葉に速攻否定しようとしたら、四神達のことが思い浮かぶ。
四神達も含めれば、私もモテている。
でもそれってあまり言って欲しくない。

「いずれにしろ恋は先手必勝。迷いは禁物だぜ?」
「さすが相手がいる人達は言うことが違うね?ここは言われてみた通りにしてみたら?」
「あれ?リンドウはいいの?」
「さぁてどうだろうね?」

他人事のようにリンドウは瞬とチナミちゃんに言うから、不思議に思いながら聞いてみるとさらりとはぐらされてしまった。
その顔は実は脈ありっぽい。

「じゃぁオレ達は帰ろうか?マリアが待っている」
「そうだね。それじゃぁチナミちゃん、我が家に来てね」
「ああ」

と最後にチナミちゃんに言って、私達はリンドウ屋敷を後にした。



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