夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「これはこれは帯刀くんと凪くん。いらっしゃい。君達が来るなんて、珍しいね」
「今日は神子殿達に会いたいと言う大事なお客様を連れて来たんですよ」
「神子殿に?」

リンドウ屋敷に辿り着いてリンドウに出迎えられ、すぐに事情を帯刀さんが話し不思議がられる。
こう言うのは、帯刀さんに任せた方が良い。
私は初めて訪れるリンドウ屋敷に興味津々で、キョロキョロしてしまい大人げない行動を取っていた。
初めての所はどうしても気になってしまう物。

「ええ、藤原湛増。渓とマリアくんの父親だよ」
「初めまして」
「初めまして。確かにそれは大事なお客さんだね。ちょっと待ってて、すぐ呼んでくるから待ってて」

とリンドウさんは言って、私達は広間に通され待たされる。







「初めまして、現役神子姫様。オレはヒノエ。今後ともよろしく」
「ヒノエさん、その子は神子は神子でも黒龍の神子で、白龍の神子はもう一人の子」
「は?あ、これは失礼。オレ達の神子姫様は外見からしておてんば娘だったから、まさか君のようなおっとりした箱入り娘見たいな娘だとは思わなかった。時代が違えば、感じも違ってくるもんだね」

ゆきと瞬だけではなく都とチナミちゃんまでやって来くるなり、ヒノエさんはなぜか都の手を取りキス付きの挨拶をする。
顔を真っ赤に染める都は可愛らしいと思ったのは置いといて、私は慌てて違うと教えその場を押しきろうとするけれどそれは遅し。
ヒノエさんは悪気なく謝り、訳を軽く話すだけ。
望美を知る私には、なくわかるような気がする。

確かに望美はどこにでもいる元気はつらつで強い男勝りに近い女の子だったけれど、ゆきはおっとりしていて世間知らずのお嬢様見たいな所があるからな。
実際にそうなんだけど。

「あなたは何者なんだ?」
「オレは湛渓とマリアの父親だよ。それでいて元天の朱雀」
「渓さんの?血筋には逆らえないってことか?」

我に返った都はヒノエさんを警戒して問うけれど、ヒノエさんの正体に理解したらしく呆れた。
渓を知っていればそう思うのは当然。

「そんな人が私になんの用があるんですか?」
「神子姫様がどんな子が気になったのと、神子姫様と瞬は祟の家族だと聞かされたから、ちゃんと話をつけておこうと思ってな。お前が瞬でいいんだよな?」

いつもより強気に出るゆきだったけれど、ヒノエさんの答えに何かに怯えだす。
失恋の傷がまだ癒えてないことを物語っていた。
当たり前か。

「祟のこと?」
「ああ。すべてが終わった時、祟はマリアの旦那として過去の熊野に連れて行こうと思う」
『!?』

ヒノエさんの驚くべき頼みに絶句する瞬だったけれど、祟のことをあまり大切にしてない瞬だから関係ない気がする。

それとも少しは大切に・・・してるわけないか。

「何を考えてるんですか?祟くんはまだ14歳なんですよ」
「オレ達の時代であれば問題はない。婿養子にしてしばらくは同居だな。祟には熊野の男として学んでもらう」
「私は絶対に許さない。祟くんは・・・私の許嫁なんです」
『え〜??』

これこそが爆弾発言で、誰もが声をあげる。

そんな設定私は知らない。
祟くんルートに付いてくる設定なのか?
でも祟くんはそんなこと一言も言っていなかったし、ただの口からデマカセ?

「だから私から祟くんを取らないで下さい。マリアはずるいよ。・・・白龍の神子の役目を私にだけ押し付けただけじゃなくって、私の好きな人まで取るなんて」
「ゆき・・・」

ここでようやく聞けたゆきの本音。

やっぱり重荷なんだね。
ゆきの気持ちはよく分かるし何とかしてあげたいけれど、こればかりはなんともならないんだよね?
祟くんに関しては相思相愛なんだから、別れさせるわけにはいかない。



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