夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「なぁ凪、オレと会瀬をしようぜ?」
「え、ヒノエさん?私人妻ですよ」

暇ついでにシロちゃんとクロちゃんとで落ち葉掃除をして終わったら焼きいもにしようと励んでいると、いきなり背後から甘い声で口説かれ驚き振り向けばヒノエさんだった。
笑顔からしてからかわれていることぐらいすぐわかり、でも心臓は高鳴り照れてしまい直視できない。

ゲーム設定通り女好きは、今なお現役。

「そんな可愛らしい反応を見せられると、罪悪感しか残らないな」
「可愛い?ヒノエさんの目腐ってませんか?」
「は?凪は面白いんだな?」

そんな私にヒノエさんは苦笑しながらありえないことを言い出すから、いたって真面目に視力の心配すると驚き爆笑される。
複雑だけれど可愛いと言われるより、面白いと言われた方がしっくり来る。
・・・真実だから?

「・・・よく言われます。それで何か用でしょうか?」
「ちょっとこの時代の神子様に会いに行きたいから、一緒に来て欲しいんだ」
「神子ってゆきのことですか?」
「ああ。堪渓に頼むのも忍びないからな。ちょうど野暮用があるらしく、オレだけ戻ってきたんだ」

やっぱり口説かれていたのは冗談でちゃんとした用事があり、でもそれは私にしてみたら予想外で首をかしげた。

ヒノエさんがゆきと会って何を話すのだろうか?
渓がまさか娘の恋敵に宣誓布告とかじゃないよね?

「でしたら私も同行しますよ。妻と神子殿の相性が良くない以前に、何かあったら困りますからね」
「あ?それは助かる。帯刀は凪を愛してるんだな」
「ええ、妻は私の何よりも大切な人ですから」

そこへなんだかご機嫌が麗しくない帯刀さんがやって来て、さっきと違ってヒノエさんを警戒しているような発言をする。
絶対に一部始終を聞いていて、それで要注意人物に変わった。

からかわれているのはまるわかりなのに、どうしていつもそうなんだろうか?
それにもう帯刀さんの子を身ごもっているんだから、そう簡単になびいたりなんかしないんだけど。
その辺はまだ信用されてない?

「そうオレに牙を向けるなって。オレだって女房を何よりも愛しているんだから、誰もお前の嫁さんを奪ったりしないよ」
「あ、やっぱりそう感じますよね?帯刀さん大人げないですよ?」
「夕凪に言われたくないね」

そう思ってたのは私だけではなく調子に乗りヒノエさんに合わせ余計なことを言ってしまい、帯刀さんにこつかれ正論を突きつけられ泣きをみる。

確かに私に言われたくないか。

「・・・日がくれる前に行きましょうか?」
「そうだな。マリアを待たせるわけにいかないからな」

気まずくなり話を元に戻し行くことを急かせて、ヒノエさんをその気にさせそうなった。

言われてみれば確かにそうかも知れない。
マリアちゃんは文句なんて言わないと思うけれど、用事をさっさとすませて早く行った方がいいと思う。

「シロちゃんとクロちゃんは、シュウちゃんとアオちゃんを呼んできてくれる?みんなであっちに言って夕飯をご馳走になろう」
「お安いご用だ。私はシュウを呼んでくるから、シロはアオを頼む」
「クロに指示をされるのは気に喰わないが、凪の頼みだから仕方がない。行ってくる」
「うん、ありがとう」

と私のお願いを快く聞いたシロちゃんとクロちゃんはすぐに実行に移し、私達もリンドウの屋敷に馬で向かう。


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