夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「凪さん、帯刀さん。俺とマリアの父上です」
「藤原堪増です。堪渓とマリアがお世話になってます。オレのことはヒノエと呼んでください」
『はい?』

渓から信じられない人を紹介されてしまいその人は礼儀正しく挨拶されるけれど、目の前にいても信じにくい状況に私達は戸惑う。

確かに目の前にいるのは渓をいい感に年を取ったイケメンのおじさんではあるけれど、二人の父親は鎌倉時代にいると言われていたから突然の登場にビックリだ。
まぁ渓が嘘つくはずないから、信じることは信じるけれど。
もし白龍の逆鱗で時空を越えたとしたら、二人とはお別れなんだろうか?

「父上は俺達を探すために白龍の逆鱗を使い時空を越えたのですが、壊れてしまって帰る方法が分からなくなったそうです。事情は話してあります」
「それは災難でしたね」
「二人に再会できたのでそうでもないですが、あの幼く可愛かったいや今でも可愛いマリアに彼氏がいたことには衝撃でした。本来なら相手をぶちのめしたかったのですが、そんなことしたらマリアに嫌われてしまう。オレの記憶が全くないマリアにしてみれば、そりゃぁ彼氏の方が大切ですよね?」
「はぁ・・・」

娘を溺愛する父親そのもので複雑な思いを語られ問われたけれど、女の私には可愛そうぐらいしか思えず圧倒するだけ。
しかし同じ男性の帯刀さんにはよく分かるのか、涙を潤ませヒノエさんの手を握る。

「ヒノエさん、よく分かります。私ももし娘がいて彼氏を紹介されたら、何も言わずにぶちのめします。大切な娘を奪ったのだから、そのぐらいしてもいいぐらいです」
「ですよね?事実長女の旦那は一番最初そうしました。それでも娘を大切にすると言ってくれる相手じゃなければ、オレは絶対に認めません」
「私もそうです」

親バカ同士らしくすぐ打ち解けて、馬鹿馬鹿しいことを本気で言い合う。
祟くんは大変だな。
そして万が一娘を産んだら、将来の彼氏君が可愛そう。
私は娘の選んだ相手だったらよほどのことがない限り、娘の味方で暖かく見守り祝福したい。

「あの二人ともそう言うことは今度ゆっくり話してください」
「あ、そうだな。それなら帯刀、今夜酒を飲みながら話そうか?」
「いいですね?そうしましょう」

渓の注意はむなしく終わり、さらに意気投合するだけだった。
この二人真逆のタイプに見えるけれど、どうやら馬が合うらしい。
今夜は酒盛り決定で、しかも相当呑みそうだね。

「凪さん、すみません」
「仲良きことはよきことかなって言うから別にいいよ。あんまり羽目を外されたら困るけれどね」
「そう言ってもらえると助かります。父上、マリアは酔っぱらいは大嫌いなので気を付けてください」
「!!」

本当に申し訳なさそうに渓は謝り気楽に答えたのに、それでも渓はきつく言ってヒノエさんを凍りつかせた。
親バカだからこそ必要以上にダメージを与える。
だったら私も渓に便乗して、ちょっときついお仕置きをしよう。

「私も酔っぱらいは嫌いです。何度も言ってますよね?」
「・・・・。お酒はほどほどにしましょう?」
「そのようだな・・・」

帯刀さんにも効果覿面のようであっさりと言うことを聞いてくれ、ここでもヒノエさんと意気投合。
この分だとそれほど酔っぱらいにはならなさそうで、取り敢えずは一安心だ。

「だったら急いで夕食の支度を」
「あ、それなら大丈夫です。マリアがあっちの世界で用意しています」
「マリアちゃんが?それは楽しみ」

早速夕飯支度をしようと立ち上がると渓に止められる。

最近料理の腕を上げまくっているマリアちゃんの料理は楽しみ。



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