夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「二人共待たせたな。話しはすべて終わったよ」
「マリア、苦労したんだな?よく頑張った」

我が家に戻りお兄ちゃんとお父さんは二人で何か話すため別室に籠もってしばらくして、戻って来たお父さんはそう私に言って、再びギュッと抱きしめてくれ頭をなぜてくれる。

お父さんはお兄ちゃんに、今までのことすべて話した?
それはお父さんは私とお兄ちゃんのお父さんだから?
だとしたらお父さんは味方になってくれる?

「お父さんは私達の味方?」
「そんなの当たり前だろう?今まで護れなかった分、何があっても護り抜いてやるから心配するな」

私の心配はすべてお父さんには分かってくれていたようで、お兄ちゃんと同じように言ってくれる。
嬉しかった。

お兄ちゃんの言っていた通り、私のお父さんは優しくて頼りになる人なんだ。
何も覚えていない私を護ってくれる。
だったら私もお父さんのために何かしたい。
何が出来るんだろうか?

「ありがとう。お父さんは私に何をして欲しい?」
「そうだな。だったらマリアの手料理が食べたい」

私の問いにお父さんは即答する。
でもそれは私にとっては、よく分からないことだった。

「手料理?料理ならお兄ちゃんの方がおいしい」
「でもオレはマリアの手料理が良いんだよ」
「?お父さんもお兄ちゃんと祟と一緒で、おかしなことを言う。だけどそれで良いのなら、そうする」

いくら真実を言ってもお父さんはそれでも良いって言うから、理解出来なくても夕飯は私が作ることにした。
もしかしたらお父さんはお兄ちゃんの手料理を食べたことがないから、女である私の手料理が美味しいって勝手に思い込んでいるかも知れない。
だからそう言って実際に食べたら、それが良く分かるんだと思う。
お兄ちゃんと祟は例外だ。

「祟だっけぇ?娘のことをこれからも頼んだよ。・・・本当は認めたくないんだが、娘のことを考えると認めるしかないからな」
「え、はい。ありがとうございます」

私には笑顔だったお父さんだったのに突然複雑な表情を浮かべ、祟に話しかけ渋々といった感じで私の事を頼んでそんな事も言う。
一瞬祟の顔は強ばり後退するが、すぐに嬉しそうにお礼を言って頭を深く下げる。
私と祟の仲を認めてくれたんだから当たり前。
私も嬉しい。

「ならボクも手伝うよ」
「ありがとう祟」
「それじゃぁ俺は父上と、凪さんと帯刀さんの所に行って事情を説明してくるな?」
「うん、だったら二人も呼んで、みんなで食べよう」
「一人でそんなに作れるのか?」
「大丈夫。シチューを作る」
「了解」

凪と帯刀にはお世話になっているから、感謝を込めてお礼をしたかった。
凪は私の手料理を美味しいと言ってくれているから、失敗しない限り大丈夫。
シチューなら簡単じゃないけれど、一度に沢山作れるから心配ない。
それに祟が手伝ってくれる。
お兄ちゃんもそれが分かったのか安心して、お父さんと消えた。

「祟、頑張ろう」
「そうだね。頑張ろう!!」
「ワン、ワン」

気合いを入れるため三人でエイエイオーをする。



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