夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「おじさん、誰?・・・お兄ちゃんと似ている?」
「!!お前はマリア?」
「え、なんで私の名前を知ってる?」
「ワンワン」

祟に逢いにいつものように時空を超えたけど降り立った場所は図書館で、そこには私の知らないお兄ちゃんに似た赤毛のおじさんがいた。
おじさんは私を見るなり唖然として、私の問いには答えず私の名を呼ぶ。
明らかに変で警戒しないといけないのに、なんだか懐かし気がする。
コロも吠えているけれど威嚇はしていなって事は、危ない人じゃないってこと。
覚えてないけど、私はおじさんを知っている?

「なぜって・・・オレはお前の父親なんだ」
「私のお父さん?」
「ああ。お前の兄の名前は湛渓だろう?藤原マリアと藤原湛渓」

おじさんはどう言う人なのか見極めようと考えていると、おじさんはよく分からないことを言いだし私を更に驚かす。
確かにおじさんはお兄ちゃんに似ていて懐かしい感じもして私とお兄ちゃんの名前も知っているようだけれど、いきなりお父さんだと言われても私にはどうしたらいいのか分からない。
信じてもいいのだろうか?
・・・そう言えば。

「おじさんの名前は?」
「オレの名は湛増だ。みんなからはヒノエと呼ばれている」
「お父さんと同じ・・・」

前にお兄ちゃんが教えてくれたお父さんの名前とニックネームを思い出し、半信半疑で聞いてみると同じことを答えてくれ可能性はますます高くなった。

でもどうして今ここにお父さんがいる?
お母さんは?

「マリアは、いくつになった?」
「14歳」
「大きくなったな。お母さんにそっくりだ」
「お母さんは?」
「元の世界にいるよ。熊野のことは知美と慎増に任せてオレ一人でお前達を探しに来たんだが、こんなへんぴな場所に飛ばされ白龍の逆鱗も壊れ途方に暮れてたんだ。でもお前に会えて良かったよ。その口調だと湛渓もいるんだろう?」
「うん。でも今はここにいない。異世界の幕末の江戸にいる」

話せば話すほどおじさんはお父さんという証拠が次々に出てきて、ここまで来たら信じるしかなくなってしまった。
私は覚えてないけれど知美と慎増は姉兄の名前で、こっちに来たのは白龍の逆鱗が原因らしい。
それにおじさんは本当に嬉しそうな顔をして、嘘なんかついないってよく分かる。

「マリアちゃん、こんな所で何してるの?おじさん一体誰?」
「あ祟。この人は私のお父さんらしい?」

そんな時祟の怪訝しい声が聞こえ、私をおじさんから守るように立ちはだかり警戒する。
だから私は疑問系でそう答えた。
おじさんのことは信じてもいいけれど、お兄ちゃんに聞かないと分からない。

「は、マリアちゃんのお父さん?確かに渓兄と似ているけれど、いきなりそう言う展開?」
「私とお兄ちゃんを捜しに来たって言って、でも白龍の逆鱗が壊れたんだって」
「おいマリア、そいつは?」
「私の自慢の彼氏で祟」
「彼氏だと?・・・・・」
「おじさん?」

驚く祟におじさんが言っていたことを話していると、今度はおじさんが祟を警戒して聞くから反射的に答えるとおじさんの顔が真っ青になり大声を上げその場に倒れる。
ショックに似た感情。

「どうやら本当にマリアちゃんのお父さんみたいだね。この尋常じゃないショックの仕方が何よりの証拠だよ。・・・そしてボクは殺される」
「え、なんで?私のお父さんなら祟を殺さない」
「お父さんだから殺すんだよ。特に4歳までのマリアちゃんしか知らないのに、突然彼氏を紹介したらそうなるのは当たり前だよ」

納得してれたのはいいけれど祟も顔を青ざめ恐ろしいことを言いだし、私を不安にさせ少しおじさんがお父さんじゃないことを願いたい。

なんでお父さんだったら、娘の彼氏をどうして殺す?
お父さんって言うのは娘を大切に想ってくれる人なのだから、それだけは絶対にないと思う。




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