夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「やはりお前と言う奴が俺には理解できない」
「そうか?俺達本質は結構似た者同士だと思うけれどな」
「何?」
「だって俺達大切な人を守るためなら、自分の命を捨てる覚悟があるじゃん」
「・・・・・」

俺の答えに真顔だった瞬は少しの動揺を見せ、俺は図星だと確信する。

これが祟を突き放した理由ね?
弟より大切な愛する人を優先する。
それは案外普通の考えかも知れないが、俺にはどうしても分からない。
せめて両方守る選択をなぜしなかった?
祟はそこまで瞬に嫌われてる?

「なぁ瞬。愛ってなんだ?俺には愛と言う物が分からない。家族が俺にとって何よりも大切な人達なんだ。だからお前が祟を突き放したことが、正直理解が出来ないし腹立たしい」
「は、お前がそれを言うか?そんなのお前の方が詳しいだろう?」
「そりゃぁ経験はお前より豊富だよ。でも俺は残念ながら、マリアより愛しいと想える相手はいなかった」

だから俺は瞬に正直に問いをぶつけて見れば、まさか俺がそう聞くなんて思わなかったらしく今度は拍子抜けした表情を見せる。
いくら経験豊富でも俺は本気に誰かを愛したことがないのだから、本気で神子様を愛している瞬の方が詳しい。

「理屈じゃない。俺と祟は元々母親から、白龍の神子を守ることを教えられてきた」
「だったらよけい祟も助ける道を考えるべきだろう?神子様が悲しむ」
「俺達が消えれば、記憶も消える」
「そうなのか?」
「ああ」

しかしこれと言った理由は聞けず、変わりに別の事実を聞かさた。
確かに合わせ世が消えたら、そうなるのかも知れない。
すべてがなかったことになる。
神子様の初恋もなかったことに・・・。

「お前まさか祟を助けない理由は、神子様の初恋をなかったことにしたいだけなのか?」「!!そんなわけないだろう」
「分かったよ。もう聞かない」

これ以上核心に触れれば瞬が可愛そうになると確信したため、この話はもう二度としないことにした。

俺が思っていた以上に瞬はかなり嫉妬深くて重い男。
無関係の弟にさえにもバリバリ嫉妬心を抱き、ここまで複雑な環境を作り上げた。
同姓の兄弟という物は、そう言う物なのだろうか?
俺にも弟はいるが子供の頃に別れているため、そう言うことに関してはピンとは来ない。
弟が好きな女を俺が好きになる。
・・・・・。
俺にはありえなさそうだ。

「話はそれだけか?用がないんなら俺は帰る」
「・・・・・」

なんだか馬鹿らしくなりこれ以上話がなくなり、一応確認は取り無回答だったため言葉通り帰ることにした。
瞬を理解しようとした俺が間違いだったらしい。
彼の言う通り俺達は一生分かり合えないそんな気がする。

世の中にはいろんな愛し方があり、それは未知数だと改めて実感した。



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