夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「瞬が俺を呼び出すなんて珍しいな。まぁどうせ用件は九割方白龍の神子様に関わることだろう?」

マリアのことは凪さんに任し俺は瞬との待ち合わせ場所に運び、出会い頭凄い殺気で俺を睨んでくる瞬に俺はいつもの口調で話を始めた。
瞬にペースをは合わせていたら、日が暮れてしまうのは目に見えている。
野郎と二人だけで長くいる趣味は、俺にはない。

「藤原はゆきが祟に片想いしていることを知っていたから、わざと自分の妹を近づけ誘惑したのか?」
「は?」
「そこまでゆきを追い詰めて、お前は何がそんなに楽しいんだ?彼女がお前に何をしたんだって言うんだ」
「おい、ちょっと待て。いくらなんでも人様の恋路を邪魔するような悪趣味など、俺にはまったくない。神子様の初恋相手が祟だと知っていたが、それが現在進行形だとは予想もしていなかった」

予想通り神子様の話ではあったが、話は妙な展開で俺は濡れ衣を着せられ答えに困る物だった。
瞬はマジになっていて、いつもの冷静さを失っている。
俺は懸命に誤解を解くも、多分信用されないだろう。
日頃の行いが悪いせいだろうか?

「なぜゆきの初恋が祟だと知っている?誰から聞いた?」
「誰から聞いたというか察したんだが・・・瞬は俺達のこと覚えてないのか?十年前の遊園地で俺達会ってるだろう?」
「・・・あっ?」

更に追い詰められ俺はある可能性を思いつき聞けば、瞬はようやく何かを思い出したらしく目と口を大きく見開く勢いはなくなる。
瞬のことだから覚えているとばかり思っていたが、今の今まで忘れていたらしい。
あの時の出来事は、俺だけしか覚えていなかった。

「どうやら思い出したみたいだな。そう祟は俺の妹マリアにとっても初恋相手で、マリアはおそらく祟の初恋相手だよ」
「・・・。だとしても俺にはお前がやっていることが理解できない」
「理解出来なくて結構。・・・だけど俺も祟もお前らのように別の方法を探し始めた事だけは言っておく。その結果どうなるかは分からないけどな」

俺が白龍の神子の恋路をわざと邪魔したという誤解は解け納得したらしく話をすり替えられ、俺もそれにはさらりと答え仕方がなく今の状況を軽く告げる。
この程度なら言っても支障はないだろう。

「二つの世界はお前の遊び道具じゃないんだぞ?お前の目的は世界征服か?」
「は、お前いまだに中二病なのか?」

せっかくあそこまで教えてやったのに話は妙な展開になり、あまりにもアホらしいそれでも瞬にとっては真面目な問いに耳を疑う。

こいつは真面目だけが取り柄だと思っていたが、実はどうしようもない中二病患者なのか?

「ふざけるな。俺は真面目に聞いている」
「いや、それどう考えたって真面目じゃないだろう?俺は別に二つの世界を遊び道具にはしてない。俺の目的はマリアが笑顔でいられる世界を作ること。前に話したよな?」
「ならお前はどうしていつもそう言うふざけた上から目線なんだ?」
「それが俺なんだから仕方がないだろう?」

どうやら俺の態度が瞬には気にくわなかったらしいが、そばかりは性格だからどうしようもない。
この性格は俺の生きてきた環境がそうさせた。
そうでもしなければ、あそこでは生きてはいけなかっただろう。



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