夢幻なる絆

□13.新しい選択
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「マリアさん、チナミさんがお越しになりました」
「チナミが私に会いに来た?」
「そう言えば、そんなこと言ってたっけぇ?私も行くよ」

凪の部屋で凪とおしゃべりしていると梅さんの知らせに私は少し戸惑うけれど、凪は分かってたらしくそう言われ一緒に行くことにした。
凪の口調からして、単純に遊びに来た訳じゃなさそう。
なんだろうか?





「チナミ、どうかした?」
「聞きたいことが、小松も一緒か?」

客間に行くと深刻な表情をしたチナミがいて、凪に気づくなりなぜか罰が悪い表情に変わる。

凪がいたら悪い?
でも私は凪にいてほしい。

「うん、いるよ。いたらまずい?」
「いいや、そう言うわけじゃない」

しかしそれは私の思い過ごしで、凪の問いにチナミは首を横を激しく振る。
少し脅えているようにも見えたけれど、きっとそれも私の思い違いだから気にしないでいよう。
そんなことはないから。
そして私と凪はチナミの向かいに座り、話を聞くことにした。

「聞きたいことって何?」
「マリアは本当に合わせ世を望んでいるのか?」
「私は今が好き。今みたいな暮らしがずーと続けばいいと思っているだけ。もう前の暮らしには戻りたくない」
「前の暮らし?」
「うん私は小さい時から毎日同じことをしていた。高い塀で囲まれた所で制限ある暮らしをしていて、お兄ちゃんとも週に一度しか会えなかった」
「・・・・。すまない」
「マリアちゃん、可愛そう・・・」

チナミの望み通り私なりの過去にあった出来事を答えると、チナミは申し訳なく謝って来て凪は涙ぐみ私を抱きしめる。

私が可愛そう?
これは可愛そうなことで、謝れること?
こう言うことが可哀そうで、聞いてはいけないんだ。
初めて知った。

「私は今まで何も思わなかったんだけど、教えてくれてありがとう」
「マリアちゃん、そう言う時はありがとうって言わないの。チナミちゃん、まだ聞きたいことがあるの?」
「いいや。もう何も聞かない」

私には言っている意味がよく分からなくて、でもこの話はそれで終わりチナミも異論はないようだ。

チナミの求めていた答えになっていたら良いんだけれど、チナミの表情がまだ浮かないのが腑に落ちない。
答えが分かったのなら、明るい表情になるはずだ。
なのに・・・。
そもそもどうしてチナミは、そんなことを聞いたのだろうか?
・・・あ・・・

「・・・ゆきのため?」
「え?」
「チナミはゆきの八葉だから、敵である私の事を探りに来た?」
「それは違う。絶対にない」
「じゃぁ、なぜ?」
「それは・・・お前のことがその・・・知りたいと思っただけだ・・・」
「私のことが?なんで?」

一つだけ思い当たる事を聞けば強く否定されたけれど、なら理由を問えば答えはドモって視線を私からそらす。
それは恥ずかしいと言う反応に似ていた。

今日のチナミはおかしいと思う。
凪見たく表情がコロコロ変わって、言っていることもさっきから二転三転している。

「マリアちゃん、私は席を外すね」
「え?」
「チナミちゃん、マリアちゃんを泣かしたら殺すからね」
「んなことするか!!」

となぜか凪の方がすっかり安心したようで、チナミを怒らしニコニコしながら出て行ってしまった。

凪もおかし・・・いつも通りの凪。



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