夢幻なる絆

□小松家育児日記
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凪、娘のしつけを始める?


「あーああ、あーああ」

今日も美岬は元気良く歌を歌いながら、はいはいで渡り廊下を駆け回っていた。
音痴の私とは違いなんとなくリズムがとれているのは、帯刀さんに似たのかシュウちゃんの指導がいいのかは分からないけど。
まぁどっちにしてもいいことだと思う。

「美岬、今日もご機嫌だね」
「だっだっ」
「はいはい。抱っこね」

そんな美岬に話しかければ抱っこをねだられ、言われたまま抱っこする。
最初の頃は美岬の言いたいことがたまに分からなかったけれど、今ではなんでも分かって美岬はいつもニコニコ幸せそう。

私も母親として成長してるのかな?

「美岬、お砂場で遊ぼうか?」
「ああ」

天気が良く外は気持ち良さそうだったので、そう言ってみるとますます美岬は喜び砂場に気を取られる。
龍馬と西郷さんに作ってもらった砂場は、美岬が大好きな遊び場だ。
帯刀さんも美岬のことなのでなにも文句を言わず、暇さえあれば美岬と楽しそうに遊んでいる。
だからもう少し大きくなったら、ブランコと滑り台も作ってもらうんだ。

「それなら私も一緒に遊びます」
「みっちゃん、私とも遊ぼう」
「美岬が喜ぶ大きな山を作ろう」
「そうだね。私も協力するよ」

そこへ美岬と遊ぶため可愛い童に姿を変えた四神達がやって来る。
普段の動物の姿だと美岬と遊びにくいと判断したらしく、最近昼間はこの姿で相手をしてくれていた。
それはすごくありがたく助かるんだけれど、ちょっと困ったこともあり悩んでいる。




「美岬、今日は暖かいから山に水を通そう」
「あい」
「ならまずは私とクロで川を作ります」
「美岬好みの川を作るぞ」
「だったら我はトンネルを」

いつものように美岬を中心にして、山を作りわいわい遊んでいる。
その姿はもう我慢が出来ないほど愛らしい光景。
美岬が一番可愛いのは言うまでもないんだけれど、四神の中では断然クロちゃんが可愛い。
元々ゲームの中でも人の姿をした玄武にも心奪われてたのに、小さくなったらそれはもう萌えマニアにはたまらないものになった。
もう力の限りギュッとしたくなってほほずり・・・実際に何度かしてるんだけどそれが問題だった。
いつものようにほほえましく見ていて、美岬を気にかけている。
美岬は私と帯刀さんそれから梅さんと四神達に甘やかされて、何不自由なく育っているためなんでも他人のを欲しがってしまう。
しかも思い通りにならないと

「だっだっ」
「みっちゃんそれは危ないから、まだ駄目」
「あっあっ」

クロちゃんが使っているシャベルが欲しいとだだをこねる美岬に、めずらしくクロちゃんはそう言って拒否をする。
すると美岬は怒り出し、クロちゃんに砂を投げ暴れだす。
また始まった。

「美岬、駄目。クロちゃん、大丈夫?」
「みっちゃん、ごめん。だがこれは危ないから、貸すわけにはいかないのだ」
「あんあん」

物が物だけにそれでもシャベルを渡さずに、首を強く横にふる。
それは美岬に怪我をさせない優しさなのに、本人には伝わらず余計酷くなり手を出す。
赤ちゃんだから強くはないけれど、だからといって言い訳がない。

「そんな悪い子だとお母さん、クロちゃんのお母さんになるよ」
「凪、それは言い過ぎです。美岬はまだ幼子なんですよ」
「だからと言って甘やせない。悪いことなら叱らないとわがままになって、同い年のこと遊べなく」

心を鬼にして少し強い口調で叱りクロちゃんを守り神砂をはたくと、シュウちゃんが悲しそうに止めに入るが私は首をふる。
幼子の時から教えないと、私みたいな駄目な大人になる。
だから

「あ〜ん、あ〜ん」

しかし初めてしかられた美岬は、ビックリしてしまい大泣き。
しかも大きな山を崩して暴れるは暴れるわで大惨事。
初めての経験で私もどうすればいいのか分からなくなる。
私が折れればいいんだけど、そんなことしたら美岬のためにならない。

「美岬、いい加減にしなさい」
「夕凪こそ、落ち着きなさい。美岬、もう大丈夫ですからね」
「あ〜ん、あ〜ん、と、と」

そこに自室で仕事をしてた帯刀さんがやって来て、私にそう言って美岬を抱きあげあやす。
帯刀さんは美岬に激甘だから、一部始終を話しても分かってくれないだろう。

「帯刀さんは美岬がわがままになってもいいですか?」
「さすがにまだ早いよ。もう少し大きくなってからでも遅くわない。それとも夕凪はそのころからしつけされたの?それなのに随分破天荒に育ったよね?」
「うぐ・・・」

シュウちゃんの時とは違い痛い所を付かれてしまい、言葉をつまらせ敗けを認めざる終えなかった。

美岬のしつけは残念ながら先送りにするしかない。
もう少し大きくなったらと言われても分からないけれど、まぁ一歳になってから少しずつやっていけばいいか。



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