夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「凪様、御家老。いらっしゃい。今日は何にする?」
「黒米いなりと安道名津と抹茶を二つずつ」

もう馴染みの茶屋になり喜市くんが注文を取りに来てテンポ良く注文するんだけれど、なぜか不思議そうに首をかしげ私をじっと見つめる。

「・・・凪様、体調でも悪いのか?いつもなら軽く両方三つは食べるだろう?」
「そう。妻は毎回それだけ食べていたんだ?ダイエットをしていたのにも関わらず」
「ギク・・・だって間食は一日一回なら良いって・・・」

何気のないくんの敢えて言うなら心配されてる問いはすべての暴露になってしまい、言うまでもなく帯刀さんに睨まれ苦しい言い訳をしてしまう。
内心その量は多すぎるとは薄々思っていても、誘惑には勝てなかった。
でも三日に一度だから・・・。

「凪様、ダイエットってなんだ?」
「痩せるために努力すること」
「凪様は健康体そのものだから、そんなの必要ないだろう?それとも御家老は痩せすぎが良いのか?」
「以前はそうだったけれど、今はそうじゃない。だからダイエットは辞めさせたよ」

ダイエットの意味を知っても喜市くんには弱冠理解できないらしくそう言い、帯刀さんどう言う訳か同感してしまう。

喜市くんの言う健康体って言うのは、痩せているとは言えない頑丈な体。
それは確かに真実だけれどこうハッキリ言われると、凹んでブルーになりそう・・・。
・・・出産後は出産太りと言うもあるらしいから、本格的にダイエットを始めよう。
今はお腹の子の分までたくさん食べて健康でいなきゃね。


「凪様、御家老おめでとうございます。梅さんから聞きました。おめでたなんですってね」
「うん、そうなんだ。ありがとう」

へこみモードまっしぐらの私の元へ、買い物から帰って来たのだろう荷物を持った茜ちゃんがやって来て、挨拶代わりにお祝いの言葉をもらう。

梅さんは意外におしゃべりだから、もう町中に知れ渡ってるかも?
すると顔馴染みのお客が一斉に私をみて、何やら騒ぎ始めた。
なんだろう?

「凪様、おめでとう。産まれてきたら、おいらが面倒みてやるからな」
「本当に?喜市くん、ありがとう」
「気にするなよ。凪様は危なっかしいから、赤ちゃんが心配なんだ」
「え?」
「確かにそうだな。凪様はそそっかしくて、無鉄砲。身分が高い武家老の嫁って割りには、庶民的で俺らすっかり打ち解け馴染んでる」
「だな。そこが凪様の良さって奴よ」

喜市くんだけじゃなくおじさん達から貶されるのか誉められているのか分からないお祝いの言葉に、私は戸惑い帯刀さんは懸命に笑いをこらえている。

紛れもない図星だけれど、これもなんだかな。
一応誉められ祝福されてるんだから、ありがとうっての言っとくべき?

「本当に男達はバカだね?そんなこと言わずにただお祝いすれば良いだろう?凪様、おめでとう。分からないことがあれば、相談に乗るよ。あたしは八人も子育てしたんだからね」
「ありがとうございます。その時は是非」

そんな私に気づいてくれた志津さんは率直に言ってくれ、祝福と心強いことを言ってくれ威勢良く笑った。
おじさん達も私もみんなで笑う。

だから私はこの町の人達が大好きだ。



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