夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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『お帰り、凪』
「ただいま」

我が家に帰るといつもならまず始めに梅さんが出迎えてくれるのに、今日は四神達が嬉しそうに声をハモらせ出迎えてくれる。
めちゃくちゃ愛らしい姿に心が奪われ、顔が壊れそうになった。
四神達には私が戻ってきたことが分かったのだろう。

「それから凪、おめでとうございます。これは私達四神特製安産守りです」
「我らの力を込めたのだから、御利益は保証する」
「肌身離さず持っているのだよ」
「凪の子はとっても可愛いだろうな?今から待ち通しい」
「ありがとう、みんな」

シュウちゃんから渡されたお守りはみんなからの愛情がたくさん詰まったもので、涙が出るほど嬉しくて早速首からかける。
これでなくすことはない。

「旦那様、奥様、お帰りなさいませ。四神達から聞きましたよ。やはりおめでただったのですね。今夜は赤飯を炊いて、鯛の尾頭付きも用意しましょう。奥様なにか食べたいものはありますか?」
「ただいま。梅さん手作りのさつま揚げが食べたいです」

ようやく梅さんがやって来くるなり四神達に聞いているようでそう問われたから、私はとっさに浮かんだ好きな料理を注文する

梅さん特製のさつま揚げは、ほっぺたが落ちるほど美味しくてまさにお袋の味。

「分かりました。腕によりをかけて作ります」
「今夜は祝賀会をするから、宜しく頼んだよ」
「そのつもりでいます。ではいって参ります」
「あ、私も一緒に行きます」

梅さんにはお見通しでそう言い買い物に行こうとするので、私はこれからのためについていこうとした。
妻として母として料理の腕をあげるには、もっと梅さんに教えてもらうのが一番良い。

「そうですか?旦那様、奥様をお借りしてもよろしいのですか?」
「別に構わないよ。夕凪にとっては一ヶ月ぶりだけど、私にとってはたった三日ぶりだからね」
「・・・やっぱり行くのは辞めます」
「懸命なご判断だと思います。今日のことはすべて私どもに任せて下さい」

しかし梅さんは困った様子で帯刀さんに承諾を取れば、そんな答えとは裏腹に行ったらいけないと警告している。
さすがに鈍感な私であってもこれは察することが出来言葉を撤回した。

帯刀さんは私が傍にいることを望んでいる。
たった三日であっても寂しい思いをさせてしまったのは間違いない。
私だってそう改めて言われると、帯刀さんが愛しくてたまらなくなる。
清らかな意味で、温もりを感じたい。
良く考えればさっきは偉く中途半端で終わった。

「どうやら私達は完全にお邪魔虫のようですね」
「そうだね。まぁそういうことなら無理もないよ」
「我らは招待客を集めにいった方が良さそうだな。龍馬を迎えに行くとする」
「つまらない。なら私はアーネストを呼んでくるぞ」
「私はマリアと湛渓を呼んできます」
「となると我は西郷隆盛だね」

最近随分物わかりの良くなったのかただ帯刀さんが怖いだけなのか、とにかくそう言い合い決まると一斉に姿も気配も消えていなくなった。
四神達には気の毒なことをしたかも知れないけれど、明日からはまた普段通りの生活に戻る。



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