夢幻なる絆
□12.護りたい者のため
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「なんだったんでしょうね?」
「さぁね。サトウくんにはサトウくんなりの考えがあるんでしょ?」
「・・・ひょっとしてまだ人妻に恋をしてるのかな?好きになったら止められないのは分かるけれど、既婚者はやっぱりありえないと思うんだよね?」
結果的に取り残されてしまった私達は、圧倒されたまた疑問を口にする。
アーネストが人妻に恋してると暴露され結構経つけれど、それは今尚現在進行形らしいね。
だから八葉は、やりたくない。
確かにそうなるか。
「夕凪、余計な口を出すんじゃないよ。話をややっこしくして、取り返しのつかないことになるだけだから」
「帯刀さんは相手を知ってるんですか?」
「ああ。友人の奥さんで友人の子を身籠ってるそうだ」
「そうなんですか。それじゃぁ下手に動けないですね」
友人のため人肌脱ごうと解決策を考えてると、帯刀さんにはお見通しのようで予め止められてしまう。
でもそれにはちゃんとした理由があって、言われた通り何もしないことにした。
さすがに諦めるためとは言っても、相手が相手だから当たって砕けろとは言えない。
こりゃ昼ドラ並みのドロドロ設定だな。
「帯刀さん、それってまさか?」
「そのまさかだよ」
「え、南方先生も分かったんですか?」
「まぁ・・・アーネストさんの依頼で何度か英国大使館に行きましたから」
南方先生にも分かったらしく私の問いに、なぜか歯切れの悪い答えが返ってくる。
でもそれはなんともない普通の答え。
友人って言うか、上司の奥さんを好きになってしまったんだろうか?
それはあらゆる意味でまずい気がします。
「南方先生、気を使わせてしまってすみません」
「いえいえ。そう言えば私はこれから八葉としてどうすればいいのですかね?」
なぜか帯刀さんが南方先生に謝り不思議に思う物の、すぐに納得ができたため余計なことを言わず黙ってることにした。
八葉を変わってくれたことに、感謝しているんだと思う。
そして私も感謝している。
「神子殿のお守りじゃないの?きっと改めてお願いしに来るだろうから、それまでほっとけばいいよ」
「・・・それでいいですか?」
なのにそれ以上は冷たい他人事のように答える帯刀さんに、南方先生はなんだか納得がいかないご様子だった。
アーネストと違って南方先生にはやる気があるのに、肝心のゆきがあまりこの事実を受け入れられていない。
別に龍神が選んだんだから誰でもいいような気がするんだけれど、ゆきにしてみれば重要なんだろうね?
帯刀さんが八葉じゃなければ、私には関係ないけれど。
「所で帯刀さんはリンドウにどんなことを聞いてきたんですか?」
これ以上話をひっぱるのもあれなので、気になっていたことを切り出す。
私だって歴代の白龍の神子のことは気になっている。
「主にマリアくんと渓の両親についてね。いろいろ分かったよ」
「さすが帯刀さんですね。どんなことが分かったんですか?」
「二人の母親の時の白龍の神子は二人いたらしい」
「そうだったんですか。それでもう一人の白龍の神子の行方は?」
まったく考えてない展開に驚く物の、内心納得する私がいる。
やっぱりゲームとは異なることが、その時にも起きていた。
二人の白龍の神子が存在可能であれば、ひょっとしてマリアちゃんもやっぱり白龍の神子になるのだろうか?
「夫と平泉で幸せな一生を過ごしたようだよ」
「へぇ〜その時の二人の神子は幸せだったんですね」
「そうだね。それじゃぁ私達も帰ろうか?梅にこのことを知らせて、今夜は祝賀会だよ。南方先生も来てくれますよね?」
「それはもちろん。めでたい席ですから、咲さんと是非参加します」
「ありがとうございます」
二人の神子が幸せだったことが分かりホッとしていると、帯刀さんはそんな素敵な計画をしてくれて南方先生も乗り気だった。
そして私達は、帰路につく。