夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「みんな、お帰り」
「お帰りなさい」
「ただいま。マリアちゃん、祟くん」

広間と言うべき場所に戻ると、マリアちゃんと祟くんから可愛い出迎えがあった。
妹弟喫茶顔負けの威力に、もう私はノックアウト。
この二人のカップリングは最強です。
違和感がないぐらいの自然で、絵に描いたような年相応の可愛らしい恋人。
幸せになってほしいな。

「二人は何をしてたんだ?その箱は?」
「対戦ゲームです。マリアちゃんすごく強いから、いつも手加減してもらってるんだけど」
「げーむ?なんだそれ?」

オタクの私にはお馴染みすぎるゲームに、龍馬は興味津々に問いTVをガン見する。
帯刀さんとアーネストも、それは同じだった。
まずは、そこからの説明ね。

「その箱はテレビと言って映像と音声付きで情報が流れる物です。ゲームとは遊ぶものですね」
「龍馬達もやってみる?面白いから」
「へぇーこれでね。マリア、どうやって使うんだ?」
「夕凪は私に教えて」
「はい。これはコントローラーと言って、ボタンを正しく入力すると」

大まかなテレビの説明を私なりにさらりとすると、やりたいらしくたちまち個別の講座が開かれる。

私としては大歓迎の展開ではあるけれど、帯刀さんならそのうちくだらないと言われちゃいそう。
ゲームと言うのは、立派な大人にして見ればそう言う物だから。
そしたらゲームに熱中しているオタクの私は嫌われる?
そう言えば帯刀さんって私がオタク末期だってことを知らないんだった。
・・・可愛い子好きって事は知っているけれど・・・






そして三十分後。
なんとなく出来るようになったため、チーム戦をすることになった。
チームはマリアちゃん・祟くん・龍馬と、アーネスト・南方先生・渓。
そして私と帯刀さんのチーム。
格ゲーは無理だから、割合簡単なカーレース戦。
なんかチームのバランスが片寄りまくって不利だと思うけれど、これは勝ち負けにこだわらない遊びだからね。
楽しんでもらえれば良い。

「こう言うのは本当に、久しぶりですね。足手まといにならなければ良いのですが」
「あくまでも遊びなので、気楽にやれば良いんです。優勝しても何も出ませんしね」
「どうせ優勝は、マリアさん達のチームですからね」
「そう言ってもらえると、助かります」

まったく自信のない南方先生を、渓とアーネストが励ます。
しかしアーネストはやっぱり真実をズバリと言う皮肉が弱冠混じっている。
言われた本人は気づいてないからいいけれど。

「龍馬さんも気楽にやってよ。ボクとマリアちゃんが巻き返すからさ」
「そんなこと出来るのか?二人はすごいな」
「凪は、カーレース得意?」
「え〜と、それなりに・・・逆走なら得意かな・・・」
「私達チームに勝ち目ないね」
「・・・そうですね」

マリアちゃんの問いに苦笑いしながら正直に答える哀れな私に、帯刀さんは痛いことを言ってため息をつく。
言うまでもなく追い打ちで、私達のチームには初めっから勝ち目がなかった。
私の専門のゲームはギャルゲーとRPG。
対戦ゲームもたまにはやるけれど、今まで勝てた試しがない。
だから今日は勝負とは関係なしに、とことん楽しむ。


たまにはこうやって宴会意外に、みんなで一緒に楽しむのもいいよね。
だからそう言う時間は、どんな時でも大切にしたい。



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