夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「凪さん、帯刀さん、お帰りなさい。デパートでのデートはいかがでしたか?」
「デパートには色々あっていけなかったんだ」
「だけど十分過ぎるぐらい。楽しめたよ」

時間が時間なのでマリアちゃん達の所に帰るとニコニコ顔の渓がやって来るけど、私達の返答に顔を笑顔がひきつり一瞬だけ固まる。
察しがいい渓のことだから、私達が何をしてきたのか感づいたのか

「気が利かなくてすみません。今度はちゃんと用意しときますね」
「うっ・・・。気遣いありがとうございます」

やっぱり確実にバレていて、私は恥ずかしくて視線を地面へと向けた。

誰もそこまで気が向かないし、用意しますと言われても困ります。
・・・獣夫婦で、すみません。

「一体なんの話?」
「簡単に言えば、出会い茶屋ですね」
「そんな所があるんだね?それは是非見てみたいよ」
「そうですか?」

唯一知らない帯刀さんも理解したらしく、もろに興味を示して乗り気になってしまう。
私としてはあまりそう言ういかがわしい所に行きたくない。
廃墟なでいかがわしいことをした人が、言えないだろうけれど。

「夕凪は利用したことがあるの?」
「ありません。んな所誰と行くんですか?」
「そうだったね。もし私以外の誰かと言ったら、お仕置きだけじゃすまないよ」
「そういう話はそのぐらいにして下さい。マリアに聞かれたら、説明できません」

分かりきった問いを投げられ突っ込むと、渓が低姿勢で口を挟み話題は終わる。

確かに無垢なマリアちゃんには教えられない。
例え誤魔化したとしても、被害に合うのは多分祟くんだ。



「なんだ。帯刀と凪の方が早かったんだな?」
「え、あれ、龍馬と南方先生。それからアーネスト。何荷物?」

龍馬の声に背後に振り向けば、大きくて重そうな段ボールを持った三人がいた。
なのに龍馬とアーネストは涼しげな表情をしており、南方先生だけがバテ気味のご様子。
中身がすごく気になる。

「この前の病院にあった使えそうなものです。どれもいい物ばかりで、選ぶのに苦労しました」
「それで選んだの?」
「え、まぁ・・・」

申し訳けなさそうな南方先生は苦笑する。
私生活では控えめすぎるぐらいの南方先生なのに、医療系のことになると途端に欲張りになる。
本当に何度も言うようだけれど、南方先生は医者の鏡だ。
このまま行けば、未来は安泰だね。

「他にも何かあるようなら、俺が持っていきますよ」
「すみません、ありがとうございます。龍馬さんもアーネストさんもありがとうございます」
「気にするなって。これで多くの人達が救われるんなら、これぐらいたかがしれてるぜ」
「ええ。それにDr.南方には日頃からお世話になっているので、気軽に恩返しの一部だと思っていて下さい。大英帝国の医師達も、あなたには一目置いているのです」

龍馬と渓はともかくアーネストもかなり協力的なようで、珍しく本心から尊敬しているらしい。
英国の医師達もなかなか見る目があるらしい。
だけどもしこれも偽りだったら、私はアーネストを軽蔑する。
顔面パンチして、絶交してだ。
誉めちぎられた南方先生は、顔を真っ赤になり照れてしまい髪をかく。
そんな南方先生が可愛らしかった。



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