夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「祟」
「あれ、マリアちゃん?またコロと二人だけで、戻って来たんだね」
「・・・話がある」
「どうしたのマリアちゃん?また何か悩んでるの?」

お兄ちゃんと龍馬には用事があると言って私とコロは現代に戻り祟の家に行くと、祟はいつもと変わらずいて私の異変に気づき心配してくれる。

祟はやっぱり、私の優しくて自慢の彼氏。
だから私は祟び抱きつき、この不安を聞いてみることにした。
確かめるのはすごく怖いけれど、祟がもしゆきを選ぶのなら仕方がない。
悲しくても、私は潔く諦め二人を祝福する。

「祟は私とゆきのどっちが好き?」
「え、そんなのマリアちゃんに決まってるだろう?・・・お姉ちゃんにあったんだね?」
「・・・良かった。・・・ゆきは祟のことが好きだって、お兄ちゃんが教えてくれた。もし祟が私の傍からいなくなったら・・・凄く淋しくて悲しい・・・」

と祟は即答で私と言ってくれて何があったのかも察知してくれたから、私は安心して何も隠さず真実を告げると祟は強く抱き返してくれた。
暖かく心地いい。
不安がサッと消えていく。
私の思い過ごしだった?

「マリアちゃん、ボクが大好きなのは、何があっても君だけだよ。なんかそう言ってくれて凄く嬉しいよ」
「本当に?」
「うん、だってそれだけマリアちゃんは、ボクのことが大好きって言うことでしょう?ボク達相思相愛のラブラブカップルだね」
「うん!!!」

やっぱり私の不安は思い過ごしだった見たいなのに祟は喜んでくれて、私まで喜ばせてくれる。
私と祟は相思相愛のラブラブカップル。

「マリアちゃん?」

何かあったのか祟は突然目と口を見開き、驚いたように私の顔をじっと見つめ出す。
あまりの異変ぶりに、私は訳もわからず首をかしげる。

私の顔に何か付いている?
でもいきなり付く物?

「祟?」
「マリアちゃんが、笑ってる。すごく可愛い・・・」

と信じがたいことを言って、今度は頬を赤く染める。
確かに今は幸せで嬉しいけれど、私が笑っているなんて信じられない。
だって私は喜怒哀楽が表現できないから。
嬉しいと思っても表情に現れなかった。
なのに、私は笑っている?

「え?本当だ」

すぐに手鏡で自分の顔を見ると、本当に楽しそうに笑っている。
今まで見たことがない私の表情。

これが私の笑顔?
祟が私に表情をくれたんだ。
笑顔だけじゃなくて、泣いたり怒ったりも出来るだろうか?

「祟、泣かせて?」
「は、そんなのできないよ」
「なら、怒らせて?」
「それも、無理。マリアちゃんは笑顔が可愛いんだから、それだけでいいの」

他の表情も試してみたくてお願いしても、即答で断られてしまい祟は少しだけ顔を拒ませる。
私はまた無神経なことを言って、反対に私が祟を怒らせてしまった。

そんな祟を見たく・・・あ、祟も同じなんだ。
私の怒った顔も泣いた顔も見たくない。
悲しくなるから。

「祟、ごめんなさい。好きな人にはずーと笑顔でいて欲しい」
「そうだよ。でもね我慢したり隠したりはしたらダメだよ。ボクにはなんでも話してね」
「うん、それは凪も言ってたから約束する」

私の考えは珍しく合っていたようで祟は笑顔に戻り、私達はいつものように小指を絡め指切りげんまんをした。

私か嫌だと思うことは、祟も嫌だからやらない。
それさえ分かっていれば、私はもう祟に嫌な思いをさせなくてすむ。



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