夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「・・・それしか方法はないんだな?」
「ああ残念ながら。マリアを守るために、俺はそれが間違っていると知っていても龍神の神子達と戦う」
「・・・私は私の天使の味方だけれど、お前や祟もこれからは認めてやる。それでもいいか?」
「え?」

少しの沈黙ののち予想外の解釈に俺の方が驚かされてしまい、都をマジマジと見つめてしまう。

真剣で揺るぎない眼差しで見つめられ、俺の鼓動がざわめき出す。
認められるとは思わなかった。

「もし私がお前の立場だったら、きっと同じことをすると思う。お前って本当にイモコンだよな。自分のことよりまずはマリアのこと」
「そうだよ。俺にとってマリアは世界で一番大切で愛しい存在。マリアのためならなんだってやる」
「お前、死に気でいるだろう?」
「さぁな」

そんな俺に都は少しあきれた様子で、でも理解してくれているかのように笑う。
俺を理解してくれる初めての女。
それは似た者同士だから。

「・・・。お前は外見たらしでなんでも上から目線のムカつく奴だけど、本当は芯が強くて頼りになる優しい奴だよな?」
「いきなりどうした?まさか口説いてる?」
「ちげぇよ!なんだよ人がせっかく誉めてやってるのに。もう帰る」

このままでは都に俺の方が惚れてしまいそうになり、わざと茶々を入れ都を怒らし難を乗り越える。
しかし俺は帰る都の腕を掴み、強引に抱き寄せ強く抱き締めていた。

「な、何すんだ?」
「俺さお前のこと好きかもしれない」
「は?バ、バカ言うな」

俺の思わぬ行動と発言に都は抵抗をするが、そう簡単に俺から逃れられるはずがない。
力で都が俺に勝てないことを、十分に分かっているはず。

それとも都は本気で俺を拒んでいる?

「都は俺が嫌いか?」
「そそう言うふざけた所が嫌いだね。本気じゃないくせして、よくそんなこと言えるよ。大体お前は私のどこが好きなんだ?」

返ってきた答えと問いは、難しく答えに悩むものだった。
確かに俺はふざけてはいないが本気ではないし、今の所都がお気に入りなだけ。
それなのに、なんで俺はあんなことを言ってしまったんだろうか?

「ならもし俺が本気でお前を口説いたら、お前もそれにちゃんと答えてくれるか?」
「え?」

卑怯すぎる問いを投げ掛け、俺は都の瞳を見つめ笑う。
答えなくても、答えは分かっている。
都は俺より白龍の神子を選ぶだろうからね。
俺だって都よりもマリアを選ぶのだから、その方が俺にとっても都合が良い。

すると再び顔を真っ赤にさせ視線を泳がせ、完全に可愛い普通の女子の反応だった。

これ以上答えを追求するのは、いくらなんでも可愛そうか。
少し遊びすぎたか。

「冗談だよ。からかって悪かったな」

そう言うことにしとけば、今はまだ丸く収まる。

「ああ、まったくだよ。私はもう帰るから、服を返せ」
「分かりました。お姫様」
「バカだろうお前?」
「そうかもな。野郎は大概バカだよ」

怒るよりも完全に呆れきった都は、そう言っておそらくすべてを流してくれた。
こうして俺達の短い会瀬は終わりを告げる。

次はこんな逢瀬いつになるんだろうな?



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