夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
23ページ/48ページ


「よう、凪と咲。シロとシュウも連れて買い物か?」
「うん、夕食のね。龍馬、何かあった?」
「え、ああ。アーネストが断固としてお嬢の協力を拒み続けてる。玄武の札を返すな」
「そうか、アーネストって頑固だからね。お疲れ様、玄武」

理由はすんなり聞けてもそれについてはなんのアイデアもない私は、申し訳ないと思いながらもそう言い返された玄武の札を胸元にしまう。

アーネストはしょうがない奴である。
八葉にならなかったら世界が滅びると言ったのに、それでも拒否をするってどう言うこと?
いくら事情があるって言っても、世界が滅びたら意味がない。
・・・って人のこと言えないか。
帯刀さんが八葉になるのがどうしても嫌で、南方先生に代わって貰っている以上、所詮同じ穴の狢?

「アーネストの好きな奴って、人妻なんだろう?どうやったら目を覚まして協力してくれるんだろうな?」
「龍馬さん、そう言う言い方はよくないと思います。確かに人妻を好きになるのはいけないことだと思いますが、好きになったのがたまたま人妻だっただけだと思うのです。・・・私がアーネストさんとお話してもよろしいですか?」

髪をかき自分にはまったく理解が出来ないと言わんばかりの言い方をすると、咲ちゃんの気に触ったらしく龍馬に強い口調で意見しながらもそう提案する。

好きになった人がたまたま既婚者。
今までは既婚者は恋愛対象外だと思っていたけれど、咲ちゃんが言うのも一理あるかも知れない。
私には経験がないけれど、一目惚れって言うのもある。
一度好きになったら、諦められないと思う。
・・・・・・・・。

今まで頭ごなしに反対して悪かったな。
ここは一つ似たような境遇の咲ちゃんに、すべてを任せて方が良いね。
それで私は日を改めて謝ろう。

「そうだよな。悪かった。ここは一つ咲に任せるよ」
「ありがとうございます。必ず説得してみせます」
「頼んだぞ。凪はどうする?」
「私は辞めとく。帯刀さんから“私が関わるとろくな結果を生まない”と言われているから、今回は大人しく待ってるよ」
「さすが帯刀だな。凪のことよく分かってる」

私も誘われたけれど真実を言って断れば、やたらに納得されて感心されてしまう。
そう言われるといくら紛れもない真実だとは言え、やっぱり少々ムカつくのが現実。

帯刀さんも龍馬まで酷すぎる。
確かにそれはそうだけれど・・・。
だけど龍馬の悩みは消えたのかいつもの龍馬に戻ったから、ここはあえてスルーしてやり過ごそう。

「咲ちゃん、暗くならないうちに買い物を行こう」
「そうですね。それでは龍馬さんまた」
「ああ、気をつける・・・」
−凪、咲、怨霊です。
「え、ちょっと待ってこんな所で?」

話は拗れることもなく自然と流れ私と咲ちゃんは龍馬と別れると、いきなりシュウちゃんが私の肩に止まり緊張感たっぷりにテレパシーで警告する。
言われて私も怨霊のイヤな気配を感じた。
シロちゃんとシュウちゃんがいるし龍馬にクロちゃんもいるから心配はないけれど、それでも怨霊類はなれないもの。

「おい凪、咲、ここは俺に任せておけ」
「龍馬、ありがとう。咲ちゃん、私達は安全な場所に・・・って囲まれた?」

ヒーロー龍馬の言葉に甘えて私は咲ちゃんの手を掴みこの場から逃げようとしたけれど、怨霊に囲まれている事に気づき身動きが取れなくなってしまった。

パン、パン



龍馬じゃない銃声の音ともに、次々と怨霊が倒れる。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ