夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「さて、そろそろ夕飯の買い物にでも行くかな?」
「だったら我がお供しよう。今まで以上に凪を守らなければならない」
「そうですね。お腹の子に何かあったら、大変じゃすまされませんからね。私もいきます」

読書中何気なく外を見るといつの間にか日が傾き始めていたのでそう言い立ち上がれば、猫ちゃん達と日向ぼっこをしていたシロちゃんとシュウちゃんが私の元にやってくる。
ゆきがいる以上あんまり四神を実体化させ出歩いたらいけないかもしれないけれど、この二神ならそんなヘマはしないだろう。

愛しい旦那様に作る久しぶりの手料理。
私なりに腕を振るうつもりだ。
今夜は何にしようかな?
寒いからお鍋とか?
それとも鰤の煮付け?
久しぶりにステーキって言うのもありかも?






「梅さん、夕飯の買い物に行ってきます」
「はい、分かりました。お気をつけて、いってらっしゃいませ」
「いってきます」

仕事中の梅さんに一言かけると、いつもの言葉が返ってくる。
梅さんの手が空いていれば一緒に行ってくれるんだけれど、どうやら今は忙しいらしい。

「凪さん、買い物なら俺がいきますよ」
「ありがとう。でも今日は大丈夫。献立も決まってないから」
「そうですか。ならいってらっしゃい」
「うん、いってくるね」

親切心で言ったんだろう渓の申し出にやんわりと断り、私はシロちゃんとシュウちゃんと買い物に出掛ける。





「あ、咲ちゃん。咲ちゃんも夕飯の買い物?」
「はい。凪様もですか?」
「うん。一緒に行こう?」
「そうですね」

仁友堂の前を通るとちょうど咲ちゃんが出て来た所で、自然とそう言うことになり肩を並べ再び歩く。

昨夜の件はしばらく話題に触れないで、違う話題をした方がいいよね?
それからもちろん南方先生の話も今は厳禁。

「咲ちゃん所は、今夜は何にするの?」
「そうですね。里芋の煮っ転がしに焼き魚にしようかと思っています」
「里芋の煮っ転がしか。私もチャレンジしてみようかな?」

咲ちゃんに献立お聞き私もそうしようと思い、メインもあっと言う間に決まる。
果たしてこれがいい組み合わせかはまったくもって分からないけれど、そんなに悪い組み合わせではないだろう。
食事のバランスを、そろそろ勉強をしといた方が良いよね?
妻として旦那様の健康を管理するのは当たり前だからね。

「ではまずは八百屋からですね」
「うん、そうだね。・・・あれ、龍馬?」
「なんだか元気がないようですが、何かあったのでしょうか?」

最初に行く店が決まった所で視線に龍馬が入るけれど元気がない様子で、肩をガクンと落としトボトボと歩いていた。
どんな時でも明るく振る舞っている龍馬だからそれはただ事ではないと丸わかりで、咲ちゃんも心配そうに首を傾げ私に問う。

ここは声をかけるべきだろうけれど、なんだか声をかけたら悪い気もする。
ほっといてあげるのもある意味優しさってこともあるからして悩んでいると、龍馬は私達に気づき少しだけ元気になり近づいてくる。
だけどそれは偽りの元気。



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