夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「それどういう意味だよ?」
「瞬に教えてもらえ。まぁどうせお前は瞬と同じで、白龍の神子を選ぶんだろうけれどな。それと同じで俺はマリアを選んだだけのこと」
「おい、瞬。一体なんのことだ?隠さず私にすべて教えろ」
「・・・分かった。だがゆきには黙っていて欲しい」

瞬には珍しく都と言葉に渋々だが同意し、お優しいことでそれだけを約束する。
悪までこの真実は最後まで、白龍の神子には隠すつもりらしい。
ここまで来たら俺はもう用済み。

「マリア、行こうか?」
「うん、やっぱり祟のお兄ちゃんなんか大嫌い。祟が可愛そう」
「・・・・・」
「ぷっ・・・ 」

今まで俺の背後で大人しくしていたマリアに話しかければ、マリアは瞬に面と向かってはっきり言い捨て大ダメージをあたえる。
マリアにとっては瞬は天敵であっても、瞬にとってはそうではないらしく人並みに傷つく。
それがちょっと面白くて、悪いとは思いつつ笑ってしまう。
それは都とリンドウさんも同じで、涙を浮かべて笑っていた。

「なんでみんなして笑う?」
「面白いからな。ショックした瞬が」
「?祟のお兄ちゃんは面白い?意地悪なのに?」
「・・・・・・」
「アハハ、マリアお前最高。冷血男をここまでさせるなんて、他にはいねぇよ」

きょとんとしているマリアに真相を教えても分からず、それどころか瞬に更なるダメージを与え都を笑い殺す。

無自覚なほど恐ろしいものはないということか?
瞬も敵だと思っているマリアの言葉など、真に受けなきゃいいのに。
それともいくら対立して冷たくしているとしても、祟の支えになっている彼女だから心のどこかで感謝している?

「マリア、それ以上言ったらいくらなんでも可愛そうだよ。それじゃ俺達は行くけれど、今は小松邸に身を置かしてもらってる」
「そう。神子殿達は僕の屋敷にいるよ」

これ以上は瞬が可哀想なのでそれだけ言って別れようとすると、何を思ったのかリンドウさんはご丁寧に神子の居場所を教えてくれる。
さすがリンドウさんと言うべきものなのだろうが、教えてくれなくても大体察しはついていた。
星の一族は白龍の神子をお世話するのは当然のことらしい。
俺達のお世話もすると最初言っていたぐらいだ。

リンドウさんは一体何を企んでいるのだろうか?
喰えない男だ。





「お兄ちゃん、私お腹空いた」
「何が食べたい?」
「おしるこが食べたい」

いきなりのマリアのおねだりにダメと言えるはずもなく、それに俺もいくらか小腹が空いていたので寄り道をすることにした。
辺りを見回せばすぐ一軒見つける。
偶然にもそこは有名な茶屋だった。
そしてマリアの要望通りの店を辺りを見回し探してみれば、ちまたで美味しいと評判の茶屋を見つけた。
運良く外で食べられそうな茶屋で、コロがいる俺達にはちょうどいい。

「あそこでいいか?」
「うん。早く行こうお兄ちゃん」
「ワンワン」

マリアとコロは嬉しそうにそう言い、俺の手を握り茶屋へと一目散に走り出す。



今まで辛いことだけで楽しいことをまだ知らない子供のマリアだからこそ、これからは明るい未来をあげても罰は当たらないだろう。

それでももし当たるとしたら、その時は・・・。


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