夢幻なる絆
□12.護りたい者のため
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「そう言えばまだマリアちゃんからのプレゼントを開けてなかったですね?なんだろう?」
部屋に置きっぱなしになっていたプレゼントをそう言いながら丁寧に包みをほどくと、中から粒羅な瞳が愛らしくてふかふかのテディーベアーが現れた。
思わず我れを忘れて抱きしめそうなったけれど、これは私の物ではなくお腹の子の物だって気づきその感情をぐっと押しころす。
マリアちゃんがせっかく選んでくれたのに、私が自分の物のようにして汚したら大変。
だから生まれるまで、大切に保存しないとね。
「まったく夕凪は可愛い物には相変わらず目がないね。私では駄目なの?」
「そう言う聞き方は辞めてください。そんなはずないじゃないですか?」
いつもの意地悪な問いだったから、慣れている私はさらりと交わす。
ぬいぐるみに嫉妬するなんてありえない。
私を構って冗談で言っているとは思うんだけれど、それとこれと別問題に決まっている。
「そうだね。なら私を思う存分抱きしめなさい」
「結局それが言いたかったんですね?帯刀さん大好き」
「私もだよ。夕凪」
自室なのでいくらいちゃついてものろけ台詞を言っても文句を言われないので、私は言われた通り力一杯抱きしめれば帯刀さんも抱き返してくれ唇は重なりあう。
お酒の臭いも味も強烈で、いつもと違い本当に酔いそうになる。
帯刀さんは本当に酔いが覚めたんだろうか?
「帯刀さん、今夜はもう寝ますか?」
「冗談言わないの。私は夕凪が欲しいんだよ。もしその気がないなら、今すぐその気にしてあげる」
「え?」
体が心配で問てみれば、襟から手を忍ばせ強く揉み始める。
久しぶりでいきなりのことだったから、バランスを崩し布団の上に倒れ込む。
帯刀さんが馬乗りでドアップになり、心臓が徐々に高鳴っていく。
私だってもうその気なんだ。
「胸がいくらか大きくなったのは、妊娠してるから?」
「だと思います」
「そう。噂には聞いていたけれど、ここまでだとはね?妊婦を抱くのはまた格別らしい」
「帯刀さんは妊婦を抱くのは初めてなんですか?」
「いくら私でも妊婦には興味がなかったからね。興味があるのは夕凪だけだよ」
敏感な帯刀さんはやっぱりすぐに分かった胸の大きさ。
今の時点ですでにBからCになったんだから、敏感な帯刀さんなら当たり前と言えば当たり前だ。
興味津々とばかりに聞いてくる帯刀さんに確認すると、笑われ耳元で甘く囁かれ耳たぶを甘噛みする。
そう言われて嬉しかった。
「ありがとうございます。私も帯刀さんだけです」
「私に張り合わないの。夕凪は私だけしか知らないでしょ?これからもずーっと」
「そうです。私は帯刀さんだけ知ってればいい。・・・知りたくない」
「はい、良く出来ました。それじゃご褒美を沢山上げないとね」
って私も言ったら帯刀さんに笑われもう一度ギュッと抱きしめられ、深い口づけ徐々に激しくなっていく。
やっぱり帯刀さんは私にとって特別で、この淋しかった一ヶ月をあっと言う間に満たしてくれる。
そしていつも強く思う。
もう二度と離れたくない。
傍にいたい。