夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「凪さん、咲さんは?」

帯刀さんを起こすため戻ると寝てればいいのに南方先生は起きていて、不思議そうに咲ちゃんの居場所を問われる。
私の怒りは再加熱。

「南方先生の大馬鹿者〜!!」

ドガジャ〜


なんの脈略もなくいきなりグーで顔面パンチをお見舞いしたため、派手に倒れてしまい南方先生は驚き唖然と私を見上げる。

「凪さん・・・?」
「夕凪、一体何があったの?」
「おい、南方先生。大丈夫か?」

すると帯刀さんと龍馬も起きてきて、帯刀さんは私を龍馬は南方先生に声をかけた。
酔いは覚めたようだ。

「咲ちゃんから、すべて聞きました。南方先生は最低なんです。未来に婚約者がいながら、プロポーズするなんてありえない」
「そそれは・・・私はただいつも私のために懸命にしてくれる咲さんに、何かできないかと思って一緒になろうかと。それに未来はもう・・・」
「・・・は?それってただの同情じゃないですか?」

南方先生なりに事情がわかり理由を深刻に教えてくれるけれど、私にはまったく意味がわからなくますます軽蔑して見下す。
優しすぎるからでの問題ではなく、根本的に間違っている。
同情で結婚されても、咲ちゃんはきっと嬉しくない。

「南方先生にとって、婚約者はその程度の人だったのですね?私なら例え夕凪が消えたとしても、一生涯夕凪を愛し続けます」
「凪も帯刀も落ち着けって。南方先生には南方先生の考えがあるのかも知れないだろう?」
「・・・すみません。二人の言う通りです。私が軽率で咲さんとそれから未来を傷つけたんです。私に誰かを愛す資格などないですね」

帯刀さんも私よりで厳しく指摘して龍馬は南方先生の肩を持つが、すっかり凹んでしまった南方先生は自暴自棄になる。

自業自得なんだから同情するつもりはないけれど、南方先生は一体どっちが好きなんだろう?
もし咲ちゃんに心変わらりしたって言うのなら、それならそれで仕方がない。
私は二人を祝福する。
でも今見る限りではそれはないと思う。

「仕方がない。もう一度呑みなおそう」
「は、何それ?」

何を思ったのか龍馬は、南方先生ののりよく言い出す。
なんでそんな展開になるのか、意味不明。
もう十分すぎるほど呑んで、今まであんたら寝てただろう?

「凪、男ってもんは酒を呑んで嫌なことを忘れるものなんだよ。な、南方先生?」
「え、まあ・・・一理あるかな?」
「私は遠慮する。妻の機嫌がこれ以上悪くなると、胎児に悪影響だからね」

分かるような分からない理屈を言って呑むのを再開するが、帯刀さんはきっぱり断り私のことを第一に考えてくれた。
帯刀さんが参加しないなら、私はどうだっていい。

「俺もパスします。もう遅いので、帰りま」
「今夜は泊まっていきなさい。なんならしばらくここにいても構わないよ」
「そうだね。そうしなよ渓」

渓も起きたようで眠ったままのマリアちゃんをおぶって帰ろうとしたけれど、帯刀さんが引き留め私もそれに賛成する。

二人がいたら賑やかで楽しい。
帯刀さんのことだから前回は断られたけれど、まだ渓を諦めてないのだろう。

「ありがとうございます。ならお言葉に甘えて、しばらくお世話になります」

簡単に交渉成立して、二人は我が家に(しばらく)住むことになった。



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