夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「クロちゃん、そう言えばアーネストはどうしたの?」
「すまない。仕事が忙しくてこれないそうだ」
「ふ〜ん、そうなんだ」

来る気配のないアーネストのことが気になって聞いてみれば、なんとも残念な結果を聞かされる。
仕事なら仕方がないけれど、今までこんなことなかったから少しだけ気が抜けた。
そう言えば私まだアーネストに祝われてな・・・まぁ別にいいか。

「そういやあさっきお嬢達と合って八葉になってくれと言われて取り敢えずOKしといたんだが、どうもアーネストの奴拒否ってるらしいな」
「うん、はっきり言ってたね」
「ちなみに私も拒否したよ。まぁ私の場合もう八葉ではないのだから、当たり前だけれど」
「お前の場合は、妻子ありだからな。逆に八葉になるって言ったら、俺はお前を軽蔑するぞ?しょうがない明日俺が、アーネストを説得しにいくか」

と龍馬は渋々ながらそう言った。
いかにも世話好きの龍馬らしい言葉だったけれど、あまり事情を知らないから言える言葉かもしれない。
それともゆきに関わることだから?

「だったら私も行く。アーネストは天の玄武だからな」
「何?やはりあの異人が」
「アーネストは優しい人だから、怖くないから大丈夫」

チナミちゃんと違った意味で異人をよく思ってない高杉はこの真実を微妙に受け入れられないようだけれど、マリアちゃんの少々ずれている理解に私達は苦笑し堪える。

確かにアーネストは怖くない。
マリアちゃんは高杉が異人を怖がっているから、警戒しているとでも思ってるだろうか?
高杉に限ってそれは、絶対にない。

「マリア、それはまぁ間違ってはいないけれど、異人は日本を攻めると誤解してるから警戒してるんだ」
「そうなんだ。でもアーネストはそう言うこともしない。交流したいだけだって」
「おい坂本、彼らは一体誰なんだ?」
「渓とマリアの兄妹だ。とある縁で交流をしている。ああ見えて結構苦労人なんだ。それよりも晋作こそ自己紹介をしたらどうだ?」

マリアちゃんの誤解を丁寧に解いてる渓の姿を見て高杉は不振がるのだけれど、龍馬が言う通り本来なら及びではない。
南方先生と咲ちゃんにとっても、初対面。
本来高杉が、名を名乗るのが常識だ。
それは高杉自身もそう思ったのか、何も言わず立ち上がる。

「長州藩の高杉晋作。その小松に小松殿この度はおめでとうございます」
「あ、はい。ありがとうございます」

突然のお祝い言葉に、言葉が改まった。
律儀だな。

「・・・高杉晋作?ってことは、薩長同盟・・・」
「は、そう言えば、そうだ」

南方先生が独り言のように呟いたのが耳に入り、私もそれに気付きテイションがあがる。
最近当たり前すぎて忘れていたけれど、久しぶりに歴女魂が燃え上がた

小松帯刀
坂本龍馬
西郷隆盛
高杉晋作
しかもここは小松屋敷。
薩長同盟の再現。
いくら世界でも、何気にこれは凄いかも?

「は、何を言ってる?」
「妻はたまに変なことを言うけれど、高杉は気にしなくて良い」
「そう言う物なのですか?」
「そう言う物だよ」

私の正体を知らない高杉はそんな私を奇妙がるが、ばっさり帯刀さんに切られる。
せっかく私を認めてくれた高杉なのに、これで私の評価は一瞬にして地に落ちた。

しかもそう言う時の帯刀さんは、なぜか妙に嬉しそうなんだよね?



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