夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「お、ようやく主役の登場だな。凪、帯刀、おめでとう」
「凪様、帯刀様、おめでとうございます」

大広間にはアーネストとを除く人達がいて龍馬と咲ちゃんからお祝いをされる。
どう言う訳か龍馬の隣にはあんまり会いたくない高杉の姿もあるけれど、この高杉とは初対面だから警戒する必要はないはず。
ここは私も初対面らしく振る舞おう。

「ありがとう龍馬、咲ちゃん。所で隣の人は?」
「こいつは高杉晋作。凪に用があるから連れてきたんだが、知り合いじゃないのか?」
「え?」

白々しく聞いてみると龍馬は不思議そうに答え高杉からの恐ろしいゾッとする痛い視線に、私は寒気を感じとてつもない嫌な殺気がしてきた。

まさかまさか、そんなまさかだよね?

「玄武の札を、返してもらおう」

世にも恐ろしい低いトーンが、そう言い捨てる。
やっぱり高杉も、チナミちゃん同様私を覚えていた。
でもここは恐れて引いたら、私の完敗で後々面倒。

「無理です。玄武は私といることを望んでいます」
「そうだ。私は凪を選ぶ。晋作の元になんぞ土下座されても帰らない」
「!!お前は、玄武なのか?」

恐怖心を押し殺して強気になって拒否ると、クロちゃんも出てきて私に味方する。
ゲームからして相当こきを使わられたのか、すっかりふて腐れ子供のような台詞を言い私の首に巻き付く。
紐見たくても高杉には玄武だと分かっているらしく、かなり驚き目ん玉を大きく見開く。

「そうだ。私は凪のおかげで穢れは払われ正気になれた。確かに晋作は私が守護する地の玄武だが、凪は私の神子。傍にいるのは当然だ」
「小松が玄武の神子だと?話が読めん」
「違うよ高杉。私の妻は四神の神子であって、玄武だけの神子ではない」

お決まりなのか妻と言う言葉を強調しながら、真実を躊躇いもなく説明をする。
相手が高杉なんだろうかそれとも、あの件を恨んでいるだけなのか?
後者の方が、可能性が高い。

「そう言うことなら説明をしてくれれば」
「だったら刃物など向けず、説明を求めれば良かったでしょ?高杉は夕凪が私の妻だと言うことを知っていたはずなのに、どうしてそう言う物騒なことをやったの?ことと次第によってはどうなるか分かってるよね?私だけではなく四神が許さないよ」

やっぱり原因は後者のようで、恐怖の大魔王が降臨した。
こうなると最早誰にも止められない。
私のことだから、穏便にして欲しいのに。

「あの時は本当に申し訳ないと思っている。頭に血が上ったとは言え、切羽詰まっていたこともありまして」
「そう。それで女性に剣を向けたと」
「帯刀さん、もう良いですよ。今日はお祝いの席なのですから、その件については水に流しまょう」

高杉とは言え帯刀さんを恐れているのが分かり、このままだったら国に帰った藩士の二の舞になると思い、必死になだめ帯刀さんの手を持ち微笑んでみる。
この調子なら私はもう斬られず、クロちゃんと引き裂かれることはなさそう。

「小松。やはりあなたはいい人だな。分かった。玄武は諦めよう」
「私は元からお前の物ではない。だが私は寛大だから、何かあれば助けに行く」

再びどう言う訳が高杉に認められ、クロちゃんも機嫌を直して一件落着。
私は、ホッと胸を撫で下ろした。



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