夢幻なる絆

□12.護りたい者のため
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「あ・・・」

我が家の前である人達を見つけ、思わず足を止める。
言うまでもなく、総司くんを抜かすゆき達ご一行。
向こうも私達に気づき視線を私達に向けるけれど、その瞬間都と瞬は何かに驚き唖然となった。

「二人とも一体どうしたの?」
「え、なんでもない」
「同じくなんでもない」
「そう、それならいいけど」

明らかに何かありますと言う感じなのに二人は無理矢理否定して、リンドウも性格上それ以上は追求せずに話は終わる。
二人揃って隠し事か。

「これはお目付け役に神子殿ご一行。私に何か用でしょうか?」
「僕は一ツ橋公から祝いの品を預かってきたから届けにきただけだけど、神子殿は帯刀くんに話があるらしいよ」
「神子殿が?なんでしょうか?」
「小松さん単刀直入にいいます。私の八葉になって下さい」
「嫌です」

本当に単刀直入だった。
そして帯刀さんも即答で容赦なく断る。

「神子殿、残念。さっさと諦めて、南方先生に頼んだ方が良いんじゃない?宝玉だって彼を選んでる」
「だけど私は小松さんが八葉だと思うんです」

リンドウにして見れば帯刀さんは一般人で南方先生を推薦するんだけれど、ゆきは聞く耳になど持たずそれでも自分の意見を強く主張。

「それなら私が南方先生に変わってもらったんです。私が護らなければならない人は、妻とこれから生まれてくる子供です」
「あ、・・・そうですよね。変なことを言ってすみませんでした」

ここまではっきり言われたら何も言えなくなったのか、ゆきは悲しそうな表情を浮かべ謝りようやく引き下がった。
妻子を優先するのは当たり前だから、ここで反発したら周囲から白い目で見られるだろう。
それに私だって本気でゆきのことを嫌いになる。
今でさえあんましいい気はしていない。

「ですが世界の危機ですから、私達もある程度は協力はしますよ」
「本当ですか?・・・それなら・・・いいです」

最後はちゃんと笑顔のフォローで、ようやくゆきも納得する。
でも帯刀さんは協力すると言ったけれど、本当のことはよく分からない。


「それじゃ、問題解決だね。なら今度は僕の番。帯刀くん、凪くん。おめでとう。元気な子を産んでくださいと言ってたよ。これはお祝い」
「わざわざありがとう。一ツ橋公にはよろしく伝えて下さい」
「ありがとうございます。きっと元気な子を産みます」

帯刀さんに続き私もお礼をしたけれど、お祝いの品はお酒だった。
微妙に嬉しくない。
こう言うお祝いはお酒が普通なんだろうか?

そしてゆき達はリンドウの屋敷へと帰っていき、私達も屋敷の中へと入る。





「旦那様、奥様お帰りなさいませ。マリアさん、渓さんいらっしゃいませ」
「梅さん、ただいま。わぁ〜美味しそうな匂い」
「本当だ。お赤飯の匂いがする」
「・・・同レベル」
「!!」

今回はいつも通りの梅さんのお出迎えがあり、家中に広がる美味しそうな匂いにマリアちゃんと現を抜かしていれぱ、帯刀さんはそう呟きクスクスと笑う。

ごもっとな意見です。
穴があったら、入りたい。



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