夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「あれ、チナミちゃんまでどうしたの?」

帯刀さんと大広間に行くと龍馬と仁友堂で働く山田先生達がいるのは分かる物の、なぜかそこにはチナミちゃんまでもがいた。
なぜチナミちゃん?

「おい、小松、南方先生が宮様を毒殺しようとしたのは本当なのか?」
「は、んなわけないでしょ?」
「だが捕まったんだろう?」
「そんなの誤認逮捕決まってるじゃない?今度そんな変なこと言ってたら、問答無用で追い出すよ」

チナミちゃんの真面目な問いが気にくわなくって、つい喧嘩腰で言葉を返し追い払おうとする。
それは私だけではなく龍馬達もチナミちゃん無言のまま睨み、圧倒されたチナミちゃんは大量の冷や汗をかき後退りした。

南方先生の事をよく知らないから当然なのかもしれないけれど、それでも仕方がないと済ませて多目に見ることなどできない。
私はそんなに人間が出来ていない。

「すまない。では真犯人は誰なんだ?」
「それを今からみんなで探すの。私と帯刀さんの首も掛かってるし」
「は、凪は分かるにしても、なんで帯刀までそうなってるんだ?」
「相手が相手だからね。こうでもしなければ、南方先生が犯人にされてしまう。南方先生はこれからのこの国に必要な存在だと言うのに、それをまったく分からないなど馬鹿げてるよ」
「まったくもってその通りだ」

龍馬の問いにカチンとなるものの、帯刀さんの後一服の答えに偉く賛同した。
私もそう思う。

それにしても龍馬の奴め。
確かに私は人よりすぐに熱くなりやすいけれど、そんなこと口に出して言う必要ないじゃん。

「私達も小松様と同じ考えです。先生はいつも患者を一番に考えてる人なんです」
「知ってる。彼は手に終えないお人好しだからね」
「チナミも、協力してくれる?」
「え、あ、まぁそう言うことならもちろんだ。宮様を毒殺しようとした奴を、野放しにしとくわけにはいかないからな」

マリアちゃんの可愛らしいお願いに、チナミちゃんはさもう疑ってないのかうなずく。
そんなチナミちゃんも可愛らしい。

「そうそう。真犯人を見つけたら、四神達の鉄槌を受けてもらう」
「・・・・・・」

いい感じでみんな団結し始めていて私もそんなことを気分よく言えば、強烈なブリザードが走りドン引きされた。

私は何か変なこと言ったろうか?

「やめとけ。あいつらなら幕府に差し出す前に、真犯人を殺しかねないぞ」
「う・・・それはありえる。捕まえて幕府に突き出さなきゃ意味がないよね。・・・四神達には捕まえるのを手伝ってもらうだけにしよう」

みんなを代表して龍馬がやや呆れ気味でドン引きされている理由を教えてくれ、私も今までの経験を思い出しセーブを心がけることにした。
四神達は私のためなら手加減なく、南方先生は一応地の白虎で八葉。
どんな恐ろしい目にあうか分からない。

・・・真犯人の目星がついたら遠回しに自分が置かれている立場を話せば・・・どのみち自首したって処刑なんだから同じか。
逃亡されないようにしないとね。

「それで真犯人の目星はついているのでしょうか?」
「それがどうやら南方先生を陥れようとしている人の可能性もあるらしい。それで宮様を毒殺しようとするなど、大胆すぎて呆れる以前に笑えてくるよ」
「・・・随分馬鹿げている動機ですね・・・」
「だとしたら医学館に属する連中かも知れません。彼らは先生の技術に危機感を覚えてますから」
「そう。だったら少し厄介かもね。この事件は医学館で管理するらしいよ。もちろんまだ単純に大奥内の可能性も残っている」

思ってもいない犯人の女子高校生並みの動機に帯刀さんと私は呆れまくってるのに、山田先生達は真面目に真犯人の目星を口にする。
大奥内のことにせよ馬鹿らしいことには変わりないけれど、女の嫉妬はよくありある意味恐ろしいこと。



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