夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「奥様、お帰りなさいませ」
「お帰り、凪」
「ただいま。梅さんマリアちゃん」

帯刀さんは藩邸でこの件を話し合うことになり私は大人しく駕籠に揺られ我が家に帰宅すると、いつも通りの梅さんとそれからマリアちゃんが出迎えてくれる。

やっぱり我が家は暖かくて居心地がいい。
そう言う風にしてくれた帯刀さんには感謝だね。

「奥様、政務のお手伝いはいかがでしたか?」
「それがとんでもないことになって、大変なんだよ」
「大変なことですか?」
「うん。詳しいことは着替え終わったら・・・」
「おい、凪。南方先生が捕まったって、一体どう言うことなんだ?」

さすがに十二単が重くて早く脱ぎたいと言う思いの方が強くそう言うことにしようとしたら、血相を変えた龍馬がやって来て私の両肩をガシッとつかみ激しく揺らし真相を問う。
南方先生を慕っている龍馬だから無理もないけれど、これには頭がくらくらして気持ち悪い。

「和宮様の毒殺未遂容疑に掛けられたの。詳しく話すから、とにかく今は着替えさせてよ」
「えあそうだな。すまん」

本当に簡単なことだけ話やるべきことを強く訴えると、我に返った龍馬は恥ずかしそうに言い解放される。
そして私は一度部屋に戻った。





「凪、聞きたいことがあるから、入っても良い?」
「マリアちゃん?うん、いいよ」

着替えが終わりいつもの髪型に整えていると、マリアちゃんの声が聞こえたのでいいよと言えば部屋の中へと入ってくる。
少し複雑な表情。

わざわざ聞いてくることからして、それは私にしか話せないこと。
それに今朝の件もあるから、気になっていた。

「凪、龍馬は凪の男友達?」
「うん、そうだよ。龍馬は私の異性の親友」
「親友?凪もお兄ちゃんと同じなんだ・・・」
「私が渓と同じ?」

マリアちゃんらしくいきなり問われ真意が分からないながらも答えるけれど、その答えはマリアちゃんにショックだったらしくますます悲しそうな表情になり私を見つめる。
だけど私はこればっかりは、何も変なことは言っていない。

私と龍馬は親友。
それはこれからもきっと変わらないと思う。
なのに渓と同じって事って、どう言うこと?

「うん、お兄ちゃんは女友達がいっぱいいて女癖が悪い。キスもたくさんする」
「ちょちょっと待って。キスは帯刀さんしかしない」
「え、そうなの?」
「当たり前でしょ!!!」

問いの意味はとんでもないことで、私は顔を真っ赤に染まらせ声も裏返り激しく否定。
マリアちゃんのショックした理由が分かったと同時に、渓が外見通りのたらしであることにやたらに納得。
たらしにしてみればそれは当然なことで、きっと帯刀さんも以前はそうだったんだろうね?
そんな私にマリアちゃんはキョトンとして、私を見つめたまま首を傾げた。

「良かった。凪と帯刀はお似合いだから、そんな悲しいことして欲しくなかった。お兄ちゃんももうしないって約束してくれた」
「マリアちゃん、ありがとう。優しいんだね」

優しさが溢れるマリアちゃんのホッとした言葉に、なんだか嬉しくて私まで優しくなれる気がした。
これはシスコンかかった渓じゃなくてもそう美少女に言われたら、多くの男性は考え方を改めると思う。

それにしても一体渓はどんな説明をしてマリアちゃんに悲しい思いをさせ、どんな気持ちでどういう風に謝ったんだろうか?
ちょっと見たかったな。



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