夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「咲ちゃん、南方先生、え、きゃぁ?」
げっし

駕籠から降りると遠くの方から南方先生達の姿が見えたため、十二単を着ていることなど忘れダッシュした矢先裾を足で思いっきり踏みバランスを崩しド派手に転ける。
痛いと言うよりも十二単が重過ぎて自力では立てなく、息苦しくなりバタつくしかできない愚かな私。

「夕凪、いい加減に少しは物事を考えてから行動すること覚えなさい」
「・・・はい」
「まったく。これだから私は妻から目を離せない」
「ありがとうございます。いつもご迷惑かけて、すみません」

そんな私を帯刀さんはいつも通りお説教をしつつ、私を優しく抱き起こす。
そしてわざわざ十二単に付いた土を払ってくれる。
お礼と謝りを同時にしても、物足りない。

「ならこれは褒美と言うことで」
「・・・・・」

と帯刀さんは当然そうに言って、藩士達や門番達の前で堂々と口づけをされてしまう。
お決まりのパターンとは言え、流石にこれはヤバイよう・・・それでも前にもあったからいいのか?
イヤ良くないだろう?

「帯刀、お前なそのうち部下達からの信頼をなくすぞ?」
「どうして?私は妻とやってるだけであって、何も問題はないでしょ?」
「あるだろう?少なくても感動的な場面が台無しだ」
「それは夕凪が転けた時点でね」
「それもそうだな」

いち早くやって来た龍馬の意見にも帯刀さんはさらりと言い交わし、しかも最後はそう言うことになり話しはまとまる。
確かにこの感動の再会を始めにぶち壊したのは私だから何も言えないけれど、だからと言ってますます悪化させることはない。

「あの〜凪様、大丈夫ですか?」
「うん。咲ちゃん、お帰り」

やっぱり私に最大限の気を使う咲ちゃんの第一声が私の心配だったけれど、私は頷き感動の再会場面に戻そうとする。
今さら遅いような気がするけれど。

「ただいま。ありがとうございます」
「私はたいしたことしてないよ。ただ医学館に意見したり、真犯人の罠になったりしただけ」
「十分たいしたことしてるじゃないですか?信じてました。凪さん、帯刀さん」
「そうかな?」

咲ちゃんと南方先生に感謝され照れる私。
自分では本当にたいしたことはしていない。
でもそう言ってくれると嬉しい。

「凪、良かった。私も二人が無実で嬉しい」
「うん、そうだね。今回一番頑張ったのは、マリアちゃんとチナミちゃんだもんね」
「オオレは別に当然のことをしただけだ」
「私も当然のことをしただけ」

ナイスタイミングでマリアちゃんが会話に加わってくれたのでその事を告げると、私以上にチナミちゃんが反応し顔を赤く染まらし早口で突っぱねる。
いつもと同じ可愛らしい少年の反応。

「チナミくんもマリアさんも、本当にありがとうございます」
「え、あ気にしなくてもいい」
「うん。・・・あ、お兄ちゃん」
「ワンワン」

とマリアちゃんは渓を見つけたようで声にあげると、コロは嬉しそうに何かを目指し駆け出す。
その方向には本当に渓の姿があり、私達の元にやってくる。

「みなさん、どうかされたのですか?」
「ちょっとね。これから我が家で祝賀会をする所だよ」
「は、祝賀会?」
「まぁ細かいことは気にするな。もちろん渓も参加するよな?」

事情を知るはずもない渓はなんのことだかさっぱりと言う感じで、帯刀さんと龍馬の言葉にただ流されているだけだった。
私も祝賀会にはちょっとびっくり。



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