夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「わぁ、綺麗い子」
「夕凪、静かにしなさい」
「はい、すみません」

和宮様を見た瞬間私は自然とその言葉を発し見とれていると、帯刀さんから軽くこつかれ 小声でお叱りを受ける。

無意識だったから声が大きかったかも?
でも本当に和宮様は綺麗で凛としていて、オーラからして周囲とは違う。
どこから見ても立派なお姫様。

「でも確かにそうだね。おまけに皇室のご出身だけあって品もある」
「ですよね」

しかし私の意見には賛同してくれ、帯刀さんもそう言いながら和宮様を見つめた。
それは妻としてどうかと思うことだけれど、逆に私の方がきれいと言われた方が腹立たしい。
お世辞にも限度と言うものがあるから、ここは比較しないで欲しい。

「凪様、どうしましょう。ますます緊張してきました」
「私もですよ。もし何か失礼なことをしたらと思うと」
「南方先生と咲くんなら、大丈夫ですよ。それより私は夕凪の方が心配だよ。ありとあらゆる意味でね」
「酷い。それどう言う意味ですか?」

私達の後ろに控えている緊張MAX咲ちゃんと南方先生を安心させるべく帯刀さんは優しい言葉をかけるけれど、私には酷いことを言ってため息をつれ私は逆上して立ち上がる。

今さらここでそう言うこと言いますか?
確かにもっともな意見だけれど、そう言うことは言わない約束だ。

「どどうかされましたか?」
「え、あ、なんでもありません」

いきなり声をあげ立ち上がるもんだから当たり前のように周囲から注目を浴びてしまい、和宮様は可愛らしくクスクスと笑う。
恥ずかしいのと同時にその笑顔が自然体であることに気づく。

まだどこかあどけなさが残って、さっきまでとは別人みたい。
こっちの方が私は好きだな。
そう言えば和宮様って本来の許嫁と引き離されて、無理矢理結婚させられたことになっている。
そう思うと和宮様って、可愛そうな子なんだよね。

「宮様!!」
「すみません」
「いいえ、いいんです。可笑しかったら遠慮なく笑って下さい」

見るからに厳しそうな恐らくお付きの人に強く睨まれ途端に悲しげに反省する和宮様に、私は慌てて自分でもよく分からないことを言ってバカをさらす。
キョトンとする和宮様。

「・・・夕凪、初っぱなから恥をさらさない・・・」
「・・・ですよね。すみません」

これには寛大の帯刀さんでさえ恥ずかしそうに小声で私をセーブして、私もほほを赤く染めそう言って小さくなる。

私の恥は帯刀さんの恥で、薩摩藩の恥でもある。
それは最悪の更に最悪だ。

しかし

「あなたって面白い人ね。名前はなんて言うのですか?」
「小松夕凪と言います。薩摩潘家老、小松帯刀の妻です」
「そう。夕凪さん、仲良くして下さいね」

和宮様にはやたら受けが良く、問われたまま名を名乗ると、愛想よくそう言われてしまった。

これは棚ぼたチャンス。
相手が一回り以上離れていても、彼女は将軍様の妻。
私のあってないようなプライドなんて、叩き売りでもしてやる。
それにそう言うことなしとしても、和宮様自身のことが私はもっとよく知りたい。
なんだか気になるんだよね?

「はい、こちらこそお願い致します」
「ありがとう」

だから和宮様の申し出を快く受けると、ホッと安心したのか肩の荷がおりたようだった。




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