夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「凪、帯刀、お茶碗コロが見つけた」
「本当に?マリアちゃんコロお手柄だよ」
「マリアくん、コロ。ご苦労様」
「うん」
「ワンワン」

日がすっかり暮れた頃コロを抱きしめたマリアちゃんは嬉しそうにそう言いながら、部屋に入ってきて私に透明の袋に入ったお茶碗を差し出してくれた。
それはまさしく和宮様が使っていたお茶碗。
これさえあれば、南方先生の無実が証明出来る。

「良かったな。マリア」
「ええ、本当に。凪さん、お体は大丈夫でしょうか?」
「あれ、アーネスト?うん、大丈夫だよ」

マリアちゃんに遅れてやって戻って来たのは、チナミちゃんとなぜかのアーネスト。
それでいてアーネストは私が倒れたことを知っているようで、体調を親身になって心配される。

マリアちゃんから聞いて、それでわざわざお見舞いに来てくれたのだろうか?
アーネストって実は優しいからね。

「凪、お茶碗探しをアーネストも手伝ってくれた」
「凪さん水臭いですよ。どうしてDr.南方の一大事を教えてくれなかったのですか?私にとっても彼は大切な仲間です」
「あ、そうだったね。すっかり忘れてたよ」

心配されるのは一瞬だけで理由を知った上で言われてしまい、はっと気づいた私は苦笑し軽く答えた。

すみません。
本気でアーネストのことを忘れていただけで、覚えてたら絶対に助けを求めていた。

「凪さんって人はそう言う人でしたね。人情に熱くても、どこか抜けていますから」

案の定皮肉をため息混じりで呟かれる始末。

人情に熱いって言われたのはかなり嬉しいけれど、やっぱり私はどこか抜けているんだ。
いや、完全に抜けているかも?

「すみません。でもこれでこのお茶碗からヒ素と第三者の指紋が検出されれば、あっという間に真犯人が見つかりますね」
「そうだね。でもそんなことしなくても・・・」
「帯刀、連れてきたぜ」
「え?」

話題を戻しホッとする私に帯刀さんが何かを言い掛けようとすると、龍馬の声が聞こえてたと思えば若い綺麗な女性を連れ入って来た。
女性と言ってもまだ二十歳もいかなそうな若い子で、具合が悪いのか顔色が真っ青で震えている。

龍馬の言葉からして帯刀さんから頼まれたから連れてきたになるけれど、・・・まさかこんな時に不倫相手?
そう言えば帯刀さん好み・・・

「夕凪、どうしたら私の最愛は君だけだとちゃんと理解してくれるの?なんなら馬鹿夫婦とやらになってもいいんだよ」
「え、それは・・・」

今は不謹慎な考えがフッと頭を過り不安になる中帯刀さんの呆れきった台詞に、私は我に変えり顔が真っ赤に染まり視線を下に向けた。
私の考えなど帯刀さんにはお見通しで、恥ずかし過ぎで何も言えない。。

馬鹿夫婦。
今でもそれっ毛は十分はあるって言うのに、確信犯で強烈に迫られる。
そんなことされたら私は拒否することなど出来ず、流されるだけ流され確実に末期の馬鹿夫婦。

「冗談。今はそれどころじゃないでしょ?」
「そうそう。この人は容疑者。自害する所を間一髪の所で助けたんだ」
「そそうでしたね。・・・容疑者?自害?」

しかしそれは構われていたようで過ぎに本筋に戻ったけれど、それは驚くべきことで聞いた瞬間声を上げてしまった。




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