夢幻なる絆

□11.真犯人は誰?
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「それで私達は何を探せばいいのでしょう?」
「宮様が倒れる瞬間に飲んでいたお茶碗。それがあれば二人の無実は証明される」
「なるほど。どんな柄のお茶碗でしょうか?」
「それならさっき凪が描いてくれた」

何も知らないアーネストは当たり前のようにこれからやることを問い、私はそう言いながら凪に資料として貰った紙を渡す。
アーネストは熱心に紙を開くけれど見た瞬間、苦しそうに笑いをこらえ涙する。



「実に凪さんらしいですね。私はこう言うセンス大好きですよ」
「は、何を言っている?オレにも見せてみろ!・・・ここれは?」

少し呆れているけれど愉快そうに凪を好評化するアーネストから、チナミは眉を細め紙を奪い取り見ると青ざめ絶句した。
見てない私には分からない。

凪らしい?

「あの馬鹿。こんなんじゃ分からないだろう!!ド下手糞」
「そんなこと言ったら凪さんに失礼ですよ。To be sure, although it is a childish level, if this picture is her, it is splendid.」(確かにこの絵は幼稚レベルですが、彼女なら上出来だと思いますよ)
「私にも見せて」

なぜかチナミは顔を真っ赤に染め神を叩き付け激怒して、アーネストは日本語と異なることを英語で言う。
気になった私は捨てられた紙を見るのだが、そこには何がなんだか分からない物が描かれていた。
黒い大きな逆三角らしき物に、お化けみたいなのがいる。
これが茶碗で絵柄なんだろうか?

「とにかく茶碗を探してみましょう?」
「うん。凪と帯刀に見せれば、分かるから」
「あの、すみません」
「?」

疑問は疑問のままとにかくお茶碗を探すことになり始めようとすると、四人の男性が部屋へと入ってきた。
私より小さい子もいればおじさんもいて、二人はこの前見た舞台に出ていた人。
女の人だと思ったら、男の人だった。
その人達が一体私達になんの用?

「なんでしょうか?」
「俺達も手伝わせて欲しいんだ。南方先生は江戸の人達にとって必要な存在なんだからな」
「そうだ。犯人なんて絶対におかしい」
「ありがとう。なら私達と一緒に宮様が飲んでいたお茶碗を探して欲しい。どんなのかは分からないけれど・・・」
「茶碗なら俺知ってるぞ。描いてやるから、ちょっと待ってな」

四人の男性も仁と知り合いだったようで協力してくれると言って、一人は紙に何かをスラスラと描いてくれ見せてくれた。
ちゃんとお茶碗に見えて、柄は鹿と雪。
凪と描いたのとは、まったく異なる絵。
どうしてこうなったのか、不思議だ。

「・・・はっ」
「凪さん、あなたって言う人はこの場にいなくても存在感抜群ですね。・・・探しましょう?」

チナミもアーネストも深いため息をつきそれだけ言って、ようやく行動を開始する。
私もコロと一緒に絵を頼りに、お茶碗を探す。

犯人ならどこに隠すのだろう?
私が犯人なら隠さずに持ち去り、跡形もなく粉々に砕いてどこかにまくか埋める。
もし犯人が私と同じ考えなら、いくら探してもここにはない?
だとしたら探すのは無駄?
・・・でもそれはあくまでも私の考えであって、犯人と同じだとは限らない。
絶対にあると思って探せばきっと見つかるはず。

などと様々なマイナス要素が思い浮かぶけれど、それを無理矢理否定して、今は探すことだけに集中することにした。



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